元米証券取引委員会(SEC)委員長のジェイ・クレイトン氏が8月4日(現地時間)、米国家情報長官(DNI)に就任した。上院は51対47の僅差で同氏の人事を承認した。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、クレイトン氏は就任宣誓を終え、DNIに就いた。ホワイトハウス特別補佐官のマーゴ・マーティン氏が4日、宣誓実施を明らかにした。
クレイトン氏はタルシー・ギャバード氏の後任。国家情報長官は、米情報コミュニティー全体を統括・監督する立場にある。
暗号資産業界でクレイトン氏の名が特に知られているのは、Ripple訴訟を巡る経緯だ。SECは2020年12月22日、Ripple Labs、ブラッド・ガーリングハウスCEO、クリス・ラーセン会長を提訴したが、この日はクレイトン氏がSEC委員長を務めた最終日でもあった。
クレイトン氏は提訴直後にSECを離れたが、訴訟は後任のゲイリー・ゲンスラー体制でも継続した。その後の裁判では、Ripple側が複数の重要判断を勝ち取り、SECによる暗号資産規制の在り方にも影響を与えたとみられている。
注目されているのは、退任後の動きだ。クレイトン氏は2021年3月、One River Asset Managementの諮問委員会に加わった。同社のデジタル資産部門は、ビットコインとイーサリアムへの投資に注力していた。
さらに同年数カ月後には、暗号資産インフラ企業Fireblocksの諮問委員会にも参画した。当時クレイトン氏はFireblocksについて、進化するデジタル資産分野のリーダーだと評価。デジタル資産のカストディについても、機関投資家水準のセキュリティを維持しつつ、より明確な規制の枠組みが必要だとの考えを示していた。
退任後の発言でも、クレイトン氏はブロックチェーンや制度整備に比較的前向きな姿勢を見せてきた。ステーブルコインや分散型金融(DeFi)、ビットコイン連動の上場商品を巡るルール整備を支持し、足元では現政権下で米国の包括的な暗号資産法制が整備される可能性が高いとの見方も示している。
今回の人事そのものは暗号資産政策の担当ポストではない。ただ、SEC在任末期にRipple提訴を決定し、その後はビットコインやイーサリアム関連の投資企業、暗号資産インフラ企業の活動にも関わってきた経歴から、業界では引き続き同氏の発言やワシントンでの影響力に関心が集まっている。