政府が不動産税制改正案を打ち出したのに続き、住宅関連の貸出規制を補完する追加策の検討を本格化させる見通しだ。住宅担保認定比率(LTV)と総負債元利金返済比率(DSR)を柱とする管理の基本枠組みは維持しながら、規制導入前に契約を結んだ実需層の資金調達負担を和らげる方向で調整が進んでいる。一方、自ら居住していない1住宅保有者に対するチョンセ融資は、むしろ引き締める公算が大きい。
金融界によると、政府は3日に「2026年税制改正案」を公表した後、貸出分野の追加調整案を検討している。税制改正案には、非居住住宅と一定価格以上の住宅を対象に、総合不動産税と譲渡所得税の負担を調整する内容が盛り込まれた。
貸出分野でも、全面的な規制緩和ではなく、実需層の資金難を和らげつつ家計債務管理の方針は維持する、選別的な見直しとなる見通しだ。
このため金融当局は、既存の分譲契約者向け残金ローンについて、銀行ごとの家計向け貸出総量管理の対象から一部外す案を検討しているとされる。その一方で、自ら居住していない1住宅保有者に対するチョンセ融資は制限し、チョンセ融資の保証比率も引き下げるなど、関連規制は強化する方向だ。
税制改正が非居住住宅や高額住宅の税負担調整に軸足を置いたのに対し、貸出の補完策は、すでに分譲契約を結んだ実需層の入居に支障が出ないようにする点に主眼がある。新築住宅の残金ローンは正常化を図る一方、住宅購入向け貸出規制全般は緩めない構えだ。
◆残金ローン、総量規制の対象から外す案浮上
金融当局は主要銀行と集団融資の状況を点検し、残金ローンの供給策を協議するとみられる。現時点では、昨年の「6・27不動産対策」以前に入居者募集の公告が行われた団地の残金ローンを、総量管理の対象から全部または一部外す案が有力視されている。
分譲契約時の貸出条件を前提に資金計画を立てたものの、その後に銀行の総量管理が強化され、入居を目前にして残金ローンを受けられなくなる事例が出たためだ。
金融当局は、まず入居が迫った団地の残金ローン需要を優先的に処理し、実際の家計向け貸出の増加動向を見極めたうえで適用範囲を定める案も検討している。
市中銀行は最近、京畿道水原市の「Maegyo Station Paluside」の入居予定者向けに、残金ローンの限度額を相次いで引き上げる、または引き上げを検討しているという。
貸出規模が大きい一部団地では、残金ローンへの切り替えに伴って家計向け貸出の増加幅が大きくなる可能性があるとして、別途の管理基準を設ける案も取り沙汰されている。
もっとも、残金ローンの供給が拡大しても、貸出規制の基本枠組み自体が変わる可能性は低い。金融当局はLTV・DSRの緩和や、銀行の年間家計向け貸出増加率目標の引き上げは検討していないとされる。政府は今年の家計向け貸出の増加率を1.5%以内に抑える方針だ。
残金ローン以外の住宅購入資金まで広く緩めれば、家計債務が再び膨らみ、住宅購入需要を刺激しかねないとの判断がある。このため、既契約者の資金難を和らげる措置と、新規住宅購入に対する規制緩和は切り分けて対応する考えだ。
残金ローン以外の実需層向け補完策も議論されている。再建築・再開発の組合員向け移住費ローン規制を一部緩和する案も検討対象だ。既存住宅ではなく新築住宅を担保として活用する方式など、LTV規制の基本枠組みを維持しながら資金調達余力を広げる案が挙がっている。
◆非居住1住宅のチョンセ融資は制限へ
これに対し、チョンセ融資は規制強化の可能性が高い。自ら居住していない1住宅保有者に対するチョンセ融資の上限を、現行の2億ウォンからさらに引き下げる案のほか、融資自体を中断する案、首都圏のチョンセ融資保証比率を現行の80%から引き下げる案などが議論されている。
保証比率が下がれば、チョンセ融資で不良債権が発生した際に銀行が負担する損失リスクは大きくなる。このため銀行が審査や融資枠の管理を厳格化し、実際の融資供給規模が縮小する可能性がある。
ただ、勤務先の異動や子どもの教育、親の介護・扶養などの事情で、自身の保有住宅とは別の地域に住む1住宅保有者まで一律に制限すれば、実需層への影響が出かねない。自ら居住していない1住宅保有者のチョンセ融資を制限する場合、投資目的と、やむを得ない居住地移転とをどう線引きするかが争点になりそうだ。
政府が検討中の案が固まれば、残金ローンは契約時期と入居の必要性を踏まえて限定的に供給する一方、非居住1住宅保有者のチョンセ融資は居住理由を審査したうえで取り扱いの可否を判断する仕組みになる可能性が高い。
銀行関係者は「大規模団地の残金ローン需要は、入居時点よりかなり前から予測できたはずで、政策と融資供給計画を事前にきめ細かく調整する必要がある」と指摘した。そのうえで「貸出規制が頻繁に変わったり、例外基準が複雑になったりすれば、消費者も銀行現場も混乱せざるを得ない」と述べた。
さらに「総量規制と融資額制限が同時に運用されていること自体、実需層の事情を十分に織り込めていない面がある」とし、「政府が対策を発表すれば、銀行の営業店と消費者の双方で混乱は避けにくい。十分な準備期間と明確な基準が必要だ」と付け加えた。