Ledgerの最高技術責任者(CTO)を務めるシャル・ギユメ氏は、Coldcardを巡る最近の問題を受けても、ビットコイン利用者がマルチシグウォレットの導入を急ぐ必要はないとの考えを示した。ブロックチェーンメディアのU.Todayが8月4日(現地時間)に報じた。
ギユメ氏は、セキュリティ強化を目的にウォレットの構成を複雑にし過ぎると、かえって新たなリスクを招く可能性があると指摘した。
同氏はX(旧Twitter)への投稿で、マルチシグはウォレットの管理や復旧を難しくしやすいと説明した。その結果、多くのユーザーが安全に復旧しにくい複雑な構成を組んでしまいがちだという。
代替策として挙げたのが、ビットコインのMiniscriptだ。相続ルールやタイムロック付きの復旧キー、3つの鍵のうち2つの承認を必要とする「2-of-3」ポリシーなど、きめ細かな支出条件を設定できるとした。
Ledgerの実装では、すべての支出経路で「クリアサイン(Clear Sign)」をサポートしており、ユーザーはハードウェアウォレット上で何を承認しているのかを正確に確認できると説明した。
さらにギユメ氏は、Miniscriptによって開発者がカスタムのウォレットソフトを開発しやすくなる点にも触れた。最近ではAnthropicのClaudeを使い、数時間で高度な支出ポリシーに対応したビットコインウォレットを作成したほか、Ledgerのクリアサインによって、そのウォレットをビットコインのメインネット上で安心してテストできたと述べた。
既存のスクリプトベースのマルチシグに対する暗号技術上の代替としては、MuSig2にも言及した。MuSig2に対応する機器は、同氏によれば現時点ではLedgerのハードウェアウォレットだけだという。
一方で、同氏はマルチシグそのものを否定しているわけではないとも明確にした。一部のユーザーにとっては依然として有効な選択肢だが、セキュリティの判断は足元の出来事に左右されるのではなく、それぞれの脅威モデルに基づいて行うべきだと強調した。
その上で、大半のユーザーにとっては、適切にバックアップした単一署名のハードウェアウォレットが引き続き最も実用的な選択肢だと付け加えた。