AIブームを巡る期待が投機色を強めているとの見方が出ている。写真はイメージ(Shutterstock)

人工知能(AI)を巡る投資熱が、技術の実力以上に期待や物語に支えられて膨らんでいるのではないか――。そんな見方が米メディアや市場関係者の間で強まっている。米CleanTechnicaはAIブームを「魔術的思考」と批判し、米紙The Wall Street Journal(WSJ)はSK hynixやTSMCのADRにみられるプレミアム拡大を過熱の警告サインとして取り上げた。

CleanTechnicaは8月4日(現地時間)、AIバブルやビットコイン、陰謀論の拡散をあわせて論じるコラムを掲載した。個人投資家や機関投資家、ベンチャーキャピタル、企業経営陣まで幅広い主体が巨額の資金を投じている現状に注目した。

同メディアはその具体例として、いまのAIブームに乗れば巨額の富を得られるという期待や、ロボットとAIがあらゆる仕事を代替し、10年以内に金銭すら不要な豊かな時代が訪れるといった見方を挙げた。

一方で、こうした見通しは技術への健全な楽観論ではなく、非現実的な幻想に近いと指摘した。AIバブルを巡る議論を深めるほど、人は魔術的思考や荒唐無稽な幻想に引き寄せられやすいことが浮き彫りになるとの見方を示した。

基本的な事実には懐疑的である一方、刺激が強く非現実的な主張にはかえって引き込まれやすい――。CleanTechnicaは、そうした傾向が現代社会に広がっているとみている。

ビットコインについても同じ文脈で言及した。現在は大きな価値が認められているものの、実際の通貨のように広く使われているわけではなく、その価値も人々の信認によって支えられているにすぎないと評した。

あわせて、ビットコインは過去1年間で44%下落したと伝えた。

AIそのものは実際に有用で、多くの分野で人を助ける可能性がある一方、完全な技術ではないとも指摘した。ハルシネーションを起こすことがあり、出力結果も依然として人による確認が必要な水準にあるという。巨額の資金が流入しているにもかかわらず、収益化への明確な道筋が見えにくい点も問題視し、こうした投資もまた同種の幻想や魔術的思考に近いと論じた。

WSJの上級市場コラムニスト、ジェームズ・マッキントッシュ氏も最近のコラムで、AI投資熱への警戒感を示した。同氏は「SK hynixのADRが韓国本国株を大きく上回る価格で取引されているのは、通常の市場ではあまり見られない現象だ」としたうえで、「AI投資ブームのもう一つの警告サインだ」と評した。

WSJは、台湾の半導体大手TSMCでも同様の動きがみられると伝えた。TSMCのADRプレミアムは2010~2020年の平均で約3%だったが、ChatGPT公開後にAI投資熱が広がった2022年以降は平均15%に上昇したという。

AIインフラの拡大が続くなかでも、市場では過熱のサインに目を配る必要があるとの見方が浮上している。

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