出版社ゴールデンラビットは、1985年にAppleを去ったスティーブ・ジョブズが創業したNeXTでの12年間に焦点を当てた書籍『ネクスト スティーブ・ジョブズ』を刊行した。
同書は、数多くの伝記や評伝、映画で十分に描かれてこなかった、ジョブズにとって屈辱的で過酷な時期を取り上げる。あまり知られていないNeXT時代の実像を追った内容だという。
ゴールデンラビットによると、同書にはジョブズの公式伝記を含め、これまでの関連書籍で十分に扱われてこなかったエピソードを収録した。
同書は、Appleを離れた後にジョブズが意欲的に立ち上げたNeXTでの歳月を「地獄」と表現する。世界的に著名なデザイナーを起用し、ロゴデザインだけで10万ドルを投じたほか、トイレのタイルの目地の補修に2万ドルを費やすなど、行き過ぎた完璧主義が周囲を振り回したとしている。
会社はたびたび倒産危機に直面し、従業員は、英雄視される一方で愚か者とも映るジョブズの気まぐれに翻弄されたと描く。
その一方で、NeXTの存続を揺るがした「深刻な危機リスト」の実態にも踏み込む。これまでプレスリリースでは明かされてこなかった、国家安全保障局やCIAなど情報機関の関係者との極秘交渉にも触れているという。
さらに、そうした逆境の中で、ジョブズが他者の感情に配慮し、人の話に耳を傾ける姿勢を学び、実務陣へ大胆に権限を委ねていく過程も描く。あわせて、後のWebやMacにも大きな影響を与えたとされるNeXTSTEPが、どのように開発されたのかも紹介する。
著者のジェフリー・ケインは、米国のジャーナリストでノンフィクション作家。2009年から7年間にわたり韓国に滞在して取材した『Samsung Rising』は、フィナンシャル・タイムズとマッキンゼーの年間ビジネス書賞候補に選ばれ、アクシオム・ビジネス・ブック・アワードで金賞を受賞した。
また、中国・新疆の先端監視体制に迫った『The Perfect Police State』は、NPRの「今日の本」に選定された。『ネクスト スティーブ・ジョブズ』の執筆に当たり、ケインはNeXT時代のジョブズを間近で見た111人に取材し、未公開の会議映像や社内文書も調査したとしている。