アーサー・ヘイズ氏が2364.38ETHを430万USDCで売却し、約24万1000ドルの損失を確定した。Ethereumに強気な見方を示してきた同氏による持ち高圧縮として、市場では軟調な地合いを踏まえたリスク抑制との受け止めが広がっている。
Cryptopolitanが1日に報じた。暗号資産市場全体が弱含む局面での売却だったという。
オンチェーン分析プラットフォームLookonchainによると、ヘイズ氏は約2時間かけて保有するETHをCumberlandとGalaxy Digitalに送金した。平均売却単価は1ETH当たり1821ドル。取引規模自体はETHの日次出来高に照らして大きくないが、従来からEthereum強気で知られる投資家が損失を受け入れて持ち高を減らした点が注目を集めた。
当時の暗号資産市場は全般に軟調だった。時価総額は24時間で約2.1%減の2兆2500億ドルに縮小。ビットコインは6万3000ドル近辺で推移し、Ethereumも1880ドル前後まで下落した。弱気心理が強まる局面で、含み損を実現させる売却に踏み切った形だ。
今回の損失は単発の売買というより、7月中旬以降に積み増した買い持ち高を手じまう動きとみられる。ヘイズ氏は7月15日から28日にかけて7213ETHを約1387万ドルで買い増しており、平均取得単価は1ETH当たり1923ドルだった。Lookonchainは「再び高値で買って安値で売った」と指摘し、特段驚く内容ではないとの見方を示した。
市場の関心を集めた背景には、従来の強気姿勢との落差がある。ヘイズ氏は2025年末のEthereum見通しについて強い自信を示し、「迫り来るEthereum強気相場は市場を揺さぶる」と述べたことがある。年末までに1ETHが1万ドルに達する可能性があるとの見立てだった。
もっとも、足元では守りを重視する姿勢に傾いている。ヘイズ氏は自身の文章「Reality Check」で「今は暗号資産を守ることが重要だ」との考えを示した。今回の売却も、長期見通しを完全に撤回したというより、不透明な相場環境の中でリスク資産の持ち高を抑える対応とみられている。
Ethereumネットワークを巡る指標も強弱が入り交じる。現在ステーキングされている量は4120万ETHで、流通量の約33.8%を占める。バリデーターの参加待機キューは約43日まで長期化した。一方で、Sygnum Bankのカストディ・ステーキング部門責任者、トーマス・ブルンナー氏は、待機需要の拡大が必ずしも新規資金流入だけを意味するわけではないと指摘。多くは新規投資家の参入ではなく、既存バリデーターによる報酬の再ステーキングによるものだと説明した。
価格見通しも慎重さを増している。TD Cowenは、米国におけるトークン化資産の規制整備が想定より遅れているとして、Ethereumの年末目標価格を従来の約3650ドルから2371ドルへ引き下げた。
ヘイズ氏の売却自体は相場を動かす規模ではない。ただ、マクロ環境に応じて機動的に持ち高を調整してきた投資家が、弱気局面でどのような判断を下すかを示す事例として受け止められている。市場では今回の売却を単なる大口取引ではなく、リスク管理のシグナルとみる声も出ている。長期強気派とみなされてきた人物でさえ損失を受け入れ、現金性資産の比率を高めたことが、Ethereumを巡る投資家心理の戻りの鈍さを映し出している。