Strategy(写真=Shutterstock)

JPモルガンは3日、Strategyが導入したビットコインの現金化プログラムについて、暗号資産市場の変動を一段と高める恐れがあるとの見方を示した。Strategyの保有量はビットコイン総供給量の約4%に達しており、大口の買い手であるだけでなく、売り手にもなり得る点をリスク視している。

ブロックチェーン関連メディアのCoinPostによると、JPモルガンは同プログラムが市場の需給両面に不安定要因をもたらすと分析した。

このプログラムでは、Strategyがビットコインを売却し、最大12億5000万ドルの追加資金を確保できる。調達した資金は、優先株の配当支払い、社債の利払い、自社株買いに充てる仕組みだ。Strategyは、配当と利払いに備える最低限の現金保有目標を12カ月分としている。6月28日時点の現金準備は25億5000万ドルで、必要額の約17カ月分に相当する。

ただ、JPモルガンはこの水準では市場の不安払拭には不十分だとみている。レポートを主導したマネージング・ディレクターのニコラオス・パニギルツォグル氏は、株式価値の希薄化を伴うとしても、普通株の発行で現金準備をさらに積み増す方が望ましいと指摘した。投資家の売却懸念を和らげるには、配当と利払いを24〜36カ月賄える水準の現金残高が必要だとしている。

JPモルガンが市場への影響を大きいとみる背景には、Strategyの突出した保有規模がある。同社の保有量は84万7363BTCで、ビットコイン総供給量の約4%を占める。JPモルガンの推計では、同社が2026年にビットコイン購入へ投じた資金は137億ドルに上り、デジタル資産市場全体の純流入の約70%に相当する。

JPモルガンは、こうした規模の企業が市場で大口の買い手にも売り手にもなり得ること自体が、需給の両面で新たなリスクになると指摘する。市場の変動性が高まれば、Strategyの株式・社債の発行コストが上昇し、将来の追加購入余力も低下しかねないという。

実際、Strategyは5月26日から31日にかけて32BTCを売却し、優先株配当の原資に充てたと6月1日に開示した。市場では、買い増しを続けてきた企業が売却に転じたとの受け止めが広がり、ビットコイン価格は下落した。これに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待後退も重なり、下押し圧力が強まった。

機関投資家マネーの流れも弱含んでいた。米国のビットコイン現物ETFは6月に入って流出が拡大し、13営業日連続で純流出を記録した。月間の純流出額は40億ドルと過去最大水準に達し、年初来の累計純流入もマイナスに転じた。

JPモルガンは、2026年下期の市場回復には2つの条件が必要だとみている。1つは、Strategyが現金準備を配当・利払いの24〜36カ月分まで積み増すこと。もう1つは、米国でクラリティ法案が成立することだ。分析チームは、これらの条件が整えば、足元の弱気心理が「強気の逆張りシグナル」に転じる可能性があると付け加えた。

一方で、別の見方もある。Grayscaleのリサーチ部門は、優先株の配当利回りを引き上げるより、30億ドル超相当のビットコインを売却し、2年分の現金支払い義務を賄う方が、市場の信認回復につながる可能性があるとみている。

Strategyの資金調達構造とビットコイン保有戦略は、企業財務の問題にとどまらず、暗号資産市場全体の需給と投資家心理を左右する要因として注目を集めている。

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