メモリ価格が2026年後半に急騰するとの見方が強まっている。Jefferies Equity Researchは、2026年7〜9月期のメモリ価格が前期比40〜50%上昇し、10〜12月期も30〜40%の上昇が続くと予測した。需給の逼迫は2028年まで大きくは緩和しないとの見方も示している。
6月30日付けのオンラインメディアGigazineによると、背景にあるのはAI需要の拡大に伴う供給不足だ。業界では、世界のメモリ供給が2027年まで需要の60%程度しか満たせないとの見方も出ている。Jefferies Equity Researchは、2027年のメモリ価格についても前年比40〜45%上昇すると見込んでいる。
Samsung Electronics、SK hynix、Micronは生産能力の増強を進めている。ただ、新たな生産設備の多くが本格稼働するのは2027年以降、あるいは2028年になる見通しだ。2028年には15〜20%規模の新規生産能力が加わり、メモリの平均販売価格が下がる可能性はあるものの、AIやコンピューティング需要の拡大が続くため、供給増の効果は限定的と予想されている。
メモリ各社による長期契約の拡大も、民生向け供給を圧迫する要因とされる。現在は全生産能力の約50%が大手IT企業との長期契約に振り向けられており、この比率は今後70%まで高まる可能性があるという。各社が民生向けよりもAIデータセンター向け需要を優先すれば、PCやスマートフォン、ゲーム機向けの供給はさらに細り、関連製品の価格上昇につながる可能性がある。
Appleは2026年6月25日、Mac、iPad、Vision Proなどのハードウェア製品価格を一斉に引き上げた。一方、iPhoneの価格は据え置いた。
報道によると、Appleはメモリ価格の急騰に対応するため、米国防総省が中国軍事企業リスト「1260Hリスト」に指定した中国メモリメーカーCXMTからメモリを調達できるよう、米政府に承認を求めているという。
CXMTやYMTCなど中国メモリ各社の増産が値上がりを抑えるとの期待もあったが、これらの製品価格はSamsung Electronics、SK hynix、Micronと同水準とされる。低価格な供給源として市場価格を押し下げるのは難しい構図だ。
6月には、米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所で、Samsung Electronics、SK hynix、Micronを被告とする集団訴訟も提起された。原告側は、3社が人為的にメモリ不足を引き起こして価格をつり上げたとして、損害賠償を求めている。