写真=米連邦準備制度(Fed)

米連邦準備制度(Fed)は18日(現地時間)、決済用ステーブルコイン発行体(PPSI)に対し、顧客確認を義務付ける規則案を公表した。ステーブルコインの償還時も発行体との「口座関係」に当たると位置付ける一方、発行体が直接関与しない二次流通での取引は対象外とした。

ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineによると、今回の規則案は、デジタル資産市場にも銀行並みのマネーロンダリング対策(AML)を適用するため、米当局が進める制度整備の一環に当たる。

規則案では、認可を受けたPPSIに対し、新規口座の開設前に顧客情報を確認するよう求めた。収集対象は、氏名、生年月日または設立日、住所、政府発行の身分証番号としている。

Fedが示した枠組みは、銀行や証券会社、投資信託、先物仲介業者などが長年運用してきた顧客識別プログラム(CIP)に近い。Fedは今後60日間、パブリックコメントを受け付ける。

今回の規則整備は、2025年7月にドナルド・トランプ米大統領が署名したジーニアス法に基づくものだ。同法は、米国で初めて連邦レベルのステーブルコイン規制の枠組みを整備し、流動性資産による100%の準備保有を義務付けた。

同法では、ステーブルコイン発行体を初めて銀行秘密法の適用対象に加え、AML、制裁遵守、顧客確認プログラムの整備も求めている。

施行時期は、最終規則の公表から120日後、または2027年1月18日のいずれか早い日とされた。ただ、市場では顧客確認規則の最終化が2027年以前に間に合わない可能性も指摘されており、顧客確認体制が整う前に法律だけが先に発効するとの見方も出ている。

今回の規則案の焦点は、ステーブルコインの流通構造を踏まえて規制対象を切り分けた点にある。銀行と異なり、発行体は直接の顧客だけでなく、取引所などの二次市場でトークンを取得した保有者からも償還請求を受ける可能性があるためだ。

このためFedは、償還が行われる時点も発行体との「口座関係」に当たると整理した。例えば、取引所でステーブルコインを購入した保有者が発行体に直接償還を求める場合、その時点で顧客確認義務が発生するという考え方だ。

一方で、発行体が直接の相手方とならない二次流通取引は対象外とした。スマートコントラクトによる移転を含め、発行体が関与しないトークン移動は口座関係とはみなさない。ステーブルコイン流通全体を一律に規制するのではなく、発行体と利用者が直接接する場面に規制対象を絞った形だ。

Fedのマイケル・バー理事は、規則案公表日に出した声明で、デジタル資産取引における資金洗浄リスクの脆弱性を改めて強調した。バー氏は3月にワシントンで開かれたイベントでも、準備資産の質、規制裁定、資金洗浄対策の空白、金融安定への影響をステーブルコインの主なリスクとして挙げていた。

米規制当局の動きはFedにとどまらない。2026年4月には、財務省傘下の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)と海外資産管理局(OFAC)が、PPSIに対して書面によるAML・テロ資金供与対策プログラムと制裁遵守体制の整備を求める共同規則案を公表した。

この共同案には、PPSIを既存の資金サービス業の枠組みから切り離し、銀行秘密法上の独立した金融機関として扱う内容も盛り込まれている。

連邦預金保険公社(FDIC)と通貨監督庁(OCC)も、ライセンス、準備金、資本規制、償還基準を巡る規則策定を並行して進めている。今回の顧客確認規則案は、こうしたAML・制裁関連ルールを補完する措置と位置付けられる。

バー氏はこれまでも、法の趣旨を実効性のある保護措置へ落とし込むには詳細な規則整備が欠かせないと指摘してきた。今後の焦点は、限られた施行スケジュールの中で、各当局が最終規則をどこまで速やかに整合させられるかに移る。

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