写真=Apple

米上院の超党派議員がAppleに対し、中国製メモリ大手のCXMTとYMTCの製品を自社製品に採用しないと明言するよう求め、けん制を強めている。中国製メモリの採用が、米国の半導体産業と国家安全保障に影響を及ぼしかねないとの判断からだ。

IT専門メディアの9to5Macによると、上院議員らは7月30日(現地時間)、Appleに対し、8月21日までにCXMTとYMTCのメモリを使用しない方針を示すよう要求した。

今回の要求は、Appleがメモリ供給不足への対応として、中国サプライチェーンの拡大を検討してきたとされるなかで浮上した。AppleはCXMTやYMTCからの調達案を巡り、米政権の事実上の後押しを求めていたとの見方も出ている。

法的に政府承認が必要な案件ではない。ただ、政権の支援がないまま取引を進めれば、政治的な負担が大きくなる可能性があるとみられている。

ティム・クックCEOは最近、値上げの可能性を巡る議論のなかで、サプライチェーン全体を見直していると明らかにした。その後、AppleがCXMTのDRAMをテストしているほか、YMTCともメモリ供給を巡って協議しているとの報道が相次いだ。

米議会がAppleの中国製メモリ採用を問題視するのは今回が初めてではない。Appleは2022年、中国で販売する一部iPhoneにYMTCのNANDフラッシュを搭載する計画を進めたが、米議会の反発と対中輸出規制の強化を受けて撤回した。

当時、マルコ・ルビオ上院議員はAppleについて「火遊びをしている」と批判。他の議員も、国家安全保障上のリスクを理由に強く反対した。

今回はさらに踏み込んだ批判が出ている。上院議員らはAppleの構想を「近視眼的」と位置付け、世界有数のコンシューマーエレクトロニクス企業が、米政府により中国軍関連企業に指定された企業に中核部品の供給を委ねる可能性があると指摘した。

さらに、Appleが中国製メモリ企業をサプライチェーンに組み込めば、他のグローバル企業が追随する可能性も高いと懸念を示した。その結果、米メモリ産業への投資や生産基盤が弱体化しかねないという。

米メモリ大手のMicronも同様の論理を掲げ、Appleの要請を受け入れないよう政権に働きかけてきたと伝えられている。

議員らは、仮にAppleがまず中国向け製品に限って中国製メモリを採用したとしても、その運用が長期にわたり中国市場だけにとどまる可能性は低いとみている。

いったん部品認証を終えた製品は、その後グローバル向け製品にも採用が広がる可能性があるためだ。実際、Appleは中国以外で販売する製品についても、CXMTとYMTCの採用可能性を巡って政権と協議したとの見方がある。

上院議員らはまた、Appleが部品認証の過程でCXMTとどのような技術情報を共有したのかについても説明を求めた。中国の先端半導体製造施設に米国の輸出管理対象技術が移転した場合、米商務省の追加許可が必要になる可能性がある点も問題視している。

Appleは現時点で、これらの質問に対する公式見解を示していない。業界では今回の論争について、単なる部品調達の問題にとどまらず、米国の半導体サプライチェーン保護、対中技術規制、国家安全保障が絡む案件へと拡大しているとの見方が出ている。

焦点は、Appleが8月21日の期限までにどのような立場を示すのか、そして中国製メモリ企業をサプライチェーンに組み込む計画を維持するのかに移っている。

キーワード

#Apple #CXMT #YMTC #中国製メモリ #米上院 #国家安全保障 #サプライチェーン #Micron
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.