メキシコの実業家リカルド・サリナス氏は17日、個人投資ポートフォリオの約70%をビットコインに振り向けていると明らかにし、将来的には価格が100万ドルに達するとの見方を示した。ただ、到達時期については明言しなかった。
ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineによると、サリナス氏はCoinDeskのインタビューで、ポートフォリオに占めるビットコインの比率を2020年時点の約10%から現在は70%まで引き上げたと述べた。サリナス氏は、通信、メディア、金融サービス、流通事業を傘下に持つGrupo Salinasの創業者兼会長。
同氏は、ビットコインを法定通貨や金本位制より優れた資産と位置付ける理由として、「国家による介入の可能性」を挙げた。ビットコインは差し押さえが難しく、世界中に即時送金できると説明。金本位制も結局は政府介入の対象になってきたと語った。
こうした考え方は最近になって生まれたものではないという。サリナス氏は、家族の食卓の場でも以前から金や通貨価値の下落について話してきたとし、リチャード・ニクソン元米大統領がドルと金の直接交換を停止して以降、法定通貨の価値毀損に対する問題意識が強まったと説明した。
サリナス氏のビットコイン投資は段階的に拡大してきた。2021年6月ごろには、自身が保有するメキシコの銀行Banco Aztecaについて、同国で初めてビットコインを受け入れる銀行にしたい考えを示した。しかし、金融規制当局が暗号資産に関する警告を出したことで、この計画は中断した。一方で、個人としての確信はむしろ強まったとしている。
同年には、ビットコインに4億ドルを投じるため、家電流通企業Grupo Elektraの持ち分4億1600万ドル相当を担保に、1億5000万ドルの借り入れを進めた。ただ、その相手先が詐欺業者だったことが後に判明したという。
それでも投資方針は変わらなかった。サリナス氏は2022年のビットコイン関連カンファレンスで、中央集権的な機関は資産の世代間保全をうたう一方で、通貨の購買力を損なっていると批判した。そのうえで、「理論的に理解することと、実際に経験することは違う」と述べ、自身の信念は個人的な経験に根差していると強調した。
また、家族の資産運用でもビットコインを勧めたことを明かした。「論争を呼ぶテーマだとは分かっている」としつつ、「妻が保有する家を担保に借り入れてビットコインを買うよう説得した」と語った。一般投資家に対しても、住宅資産の一部をビットコインへのエクスポージャーに振り向ける方法を検討すべきだと促した。
価格上昇の余地を説明する材料として、不動産との比較も示した。2016年1月にビットコイン価格が約400ドルだった当時、ロンドン中心部の平均住宅価格は160万ドルで、約4000ビットコインに相当したという。その後、ロンドンの住宅価格は大きく変わらない一方で、同じ住宅の購入に必要なビットコインは現在30ビットコイン未満まで減ったと説明した。
サリナス氏はビットコインを「上昇余地の大きい非対称な賭け」と表現し、認知が広がるほど需要も増えると述べた。キャシー・ウッド氏やマイケル・セイラー氏らの強気な長期見通しのように、ビットコインが100万ドルに達し得るかと問われると、「100万ドルには到達するだろうが、いつになるかは分からない」と答えた。