米共和党のニック・ベギチ下院議員は17日、法執行の過程で連邦政府が押収したビットコインを売却せず、政府の準備資産として保有するための法案「米国準備資産近代化法(ARMA)」を打ち出した。押収資産を競売にかける従来の運用を見直す内容だ。
ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineが同日報じた。法案は、政府が確保したビットコインを直ちに売却する慣行からの転換を目指す。ベギチ氏は、民間企業の準備資産となり得るのであれば、政府にとっても同様の役割を果たし得るとの考えを示した。
同氏は、準備資産に必要な条件として希少性と分散性を挙げた。金が長年にわたり価値保存手段として認められてきたのも、この2つの要素によるものだと説明している。
その上で、ビットコインもデジタル資産市場で同様の地位に近づいていると評価した。暗号資産市場全体の時価総額の約60%をビットコインが占めており、既にネットワーク効果が働く段階にあるとの認識を示した。
ベギチ氏は「ネットワーク効果が働き始めれば、そのサイクルに早く入るほど有利になる」と主張した。
また、同法案はビットコイン一辺倒の賭けではなく、ドル体制が変化する可能性に備える仕組みだと位置付けた。基軸通貨は平均93年周期で交代してきたとし、ポルトガル、スペイン、フランス、英国へと移った歴史的な変遷にも言及した。
金を保有すること自体が、こうした現実を踏まえた行動だとした上で、ビットコインも同じ観点で捉えるべきだと訴えた。ドル価値の下落リスクに備える「保険」として活用できるとの見方だ。
こうした考え方の背景には、自身の投資経験もある。ベギチ氏は2013年初め、事業上の観点からドル価値の下落に備えるため、ビットコインに投資したと明らかにした。
その後、Mt. Goxの破綻で約440BTCを失ったが、破産手続きを経て最終的には前向きに受け止めるに至り、ビットコインへの確信も維持したと語った。
同インタビューでは、人工知能(AI)についても見解を示した。AIは、より安価な医療や高い生産性、より広い経済機会をもたらす可能性がある一方で、大規模な雇用代替や社会的役割の喪失を招くリスクもあると警鐘を鳴らした。
こうした変化について同氏は、人間の目的に対する媒介が失われていく状況だと表現した。
特に、高性能なオープンソースAIモデルの全面公開には慎重な姿勢を示した。AI全般については「すでにシャンパンは開いた」と述べつつ、最前線のモデル、とりわけ汎用人工知能(AGI)以降の段階にあるシステムまで全面公開するのは危険だとの認識を示した。
核技術や一部の生命工学研究が制限されるのと同様に、いったん解き放たれれば制御できない非対称リスクがあるという判断だ。
中国のオープンソースモデル戦略についても警戒感を示した。単なる開放政策ではなく、米国のAI開発を支える投資の論理を弱め、米国内のエコシステムを外部から揺さぶる経済的手段になり得ると述べた。
今回の主張は、単なる暗号資産擁護にとどまらず、米国の準備資産の構成や技術競争力、ドル体制のリスクを一体で捉える問題提起として注目されそうだ。今後は、同法案が共同提案者の支持をどこまで集め、議会審議に進めるかが焦点となる。