ティム・クック氏は、メモリ不足を背景に製品値上げが避けられないとの認識を示した。写真=Apple

Appleが、メモリ不足と調達コストの上昇を背景に、製品価格の引き上げを検討している。ティム・クックCEOは、コスト増をこれまで自社で吸収してきたものの、もはや限界に達したとの認識を示した。今後投入する次期iPhoneなど主力製品にも影響が及ぶ可能性がある。

米メディアの9to5MacやEngadgetが6月17日(現地時間)に報じたところによると、クック氏はWall Street Journal(WSJ)のインタビューで、メモリ供給の逼迫と原価上昇を受け、値上げは避けられないとの考えを明らかにした。

クック氏は、これまで上昇したコストをApple側で吸収してきたとした上で、「残念ながら値上げは避けられない。大幅なコスト増の影響を和らげ、顧客への負担を抑えるため最善を尽くしてきたが、もはや持続可能な水準を超えた」と説明した。

こうした発言は、Appleが最近、Mac miniの実質的な最低価格を引き上げた流れとも重なる。最小ストレージ構成のモデルをラインアップから外したことで、Mac miniの参入価格は切り上がった。

今回の発言により、Appleが主要ハードウェアの値上げに動く可能性が一段と強まった。ただ、クック氏は具体的な値上げ幅や実施時期には触れなかった。AppleはWorldwide Developers Conference(WWDC)2026を終えたとしており、数カ月以内にiPhone18シリーズを公開する予定だ。次期iPhoneの価格が前モデルを上回るとの見方も出ている。年内投入が見込まれる新型ノートPCやタブレットにも、同様の動きが広がる可能性がある。

価格上昇圧力の主因として浮上しているのがメモリ市場の混乱だ。クック氏は、消費者向けデバイスの需要増と部品供給不足が同時に進行していると指摘した。「消費者の需要は強い一方で供給は限られており、メモリメーカーは大幅な値上げを進めている。消費者向け製品の価格を安定させるには、メモリ価格と供給が妥当な水準に戻る必要がある。それが核心だ」と語った。

今回の供給逼迫の背景には、人工知能(AI)の普及に伴う業界全体の部品需要の急増がある。メモリ調達競争が激化しており、Appleの次期製品だけでなく、現在販売中の製品群にも値上げの影響が及ぶ可能性がある。

クック氏は、メモリ市場の不安定さについて「40年以上、どの分野でもこのような状況は見たことがない」と強調した。退任を控えたCEOが値上げの可能性に直接言及した点も注目される。後任のジョン・ターナス氏が正式な価格改定を打ち出す前に、現経営陣が市場にシグナルを送ったとの見方もあるが、クック氏自身は具体的な価格政策や時期について明言を避けた。

メモリ価格の上昇圧力に直面しているのはAppleだけではない。ここ数カ月、Samsung Electronics、HP、Microsoft、Nintendo、Valveも、メモリ価格の急騰と需要拡大が製品価格や事業運営に与える影響に言及している。メモリ需給が短期間で正常化しなければ、主要IT企業全体に値上げの動きが広がる可能性がある。

Appleにとって、次期iPhoneやMac、iPadの価格戦略は下半期の重要な焦点となりそうだ。市場の関心は、どの製品から、どの程度の水準で価格調整に踏み切るのかに集まっている。

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