写真=10日に京畿道城南市のユースペース広場で開かれたスト集会で、シュプレヒコールを上げるKakao労組員(イ・ホジョン記者)

Kakaoが創業以来初めて本社でストライキに踏み切り、人工知能(AI)転換の推進に影を落としている。成果給を巡る労使交渉はなお平行線をたどっており、労組は29日に追加ストを予定する。株価もスト実施後に目立った戻りを見せておらず、先行きへの警戒感がくすぶる。

◆成果給の差は最大286億ウォン、背景に重い人件費負担

今回の対立は、表面上の金額差だけを見れば決定的に大きいわけではない。労組は昨年の営業利益の13〜14%を成果給原資として求めているのに対し、会社側は500万ウォン相当のRSU(譲渡制限付き株式)を含め、営業利益の10.1%水準を提示した。金額ベースでは会社案が約739億ウォン、労組案が952億〜1025億ウォンで、開きは最大286億ウォンとなる。

ただ、交渉がまとまらない背景にはコスト構造の問題がある。Kakaoの2025年の連結ベース人件費のうち、給与、退職給与、福利厚生費を合わせた現金支出を伴う人件費は1兆8473億ウォンと、同年の営業利益の2.5倍に達した。営業費用全体に占める比率も約25%に上る。成長局面で進めたグループ会社の拡大と大規模採用の影響で、昨年は従業員数が前年を下回ったにもかかわらず、こうした人件費はむしろ増加した。

今回ストに参加しているのは5法人だが、Kakaoグループ全体ではさらに多くの系列会社を抱える。今回の交渉基準がグループ全体に波及すれば、会社側の負担は今回の協議額を大きく上回る可能性がある。

労組の不満は成果給の水準にとどまらない。会社側がRSUを成果給原資に含めたことへの不信感に加え、DK Techinの勧告退職、XL Gamesの希望退職、ポータル「Daum」運営会社AXZの売却に続く系列再編を受け、雇用不安も広がっている。経営陣と社員の補償格差への反発も重なり、不満が一気に噴き出した格好だ。

パク・ソンウィKakao支会首席副支会長は集会で、「役員報酬は30%上がったのに、社員の賃金上昇はなぜ3%にとどまるのか」と訴えた。争点は単なる賃金交渉の枠を超え、経営陣への信頼問題に広がっている。

◆スト後も株価の戻り鈍く

ストが実施された10日、Kakao株は取引時間中に3万7400ウォンまで下落し、52週安値を更新した。翌11日にも一時3万6500ウォンを付けた。成果給を巡る対立が表面化した先月10日以降の約1カ月で、株価は15%超下落した。17日の終値は前日比0.25%高の4万550ウォン。小幅反発したものの、スト前の水準には戻っていない。

株主の目も厳しい。大韓民国株主運動本部は、営業利益連動型の報酬案が取締役会で承認されれば法的措置に踏み切る考えを示した。市場では、AI関連銘柄が買われる局面でもKakao株の戻りは限定的で、相場が崩れる場面では下落が先行しやすい傾向が続いているとの見方が出ている。

業界関係者は「業績改善だけで株価を押し上げるのは難しい。ストのリスクとAI収益化の不確実性が同時に和らがなければ、投資家心理は戻りにくい」と話した。

◆AI転換の正念場で噴き出した内部対立

問題は、KakaoがAI投資を本格的に加速すべき局面で内部対立が表面化したことだ。チョン・シナ代表は2026年1〜3月期決算の説明会で、KakaoTalkを単なるメッセンジャーから「エージェンティックAIプラットフォーム」へ転換する構想を示した。Kakaoは同四半期末時点で、現預金と短期金融商品を合わせ約8兆ウォンの手元流動性を持つ。足元ではDunamu持ち分の一部やKakao Gamesの経営権を相次いで売却し、Canana in KakaoTalk、ChatGPT for KakaoといったAIサービスも投入している。

一方で、AI転換期はコストが膨らみやすい局面でもある。人件費に加え、データセンター投資やモデル開発費が同時に増えるためだ。KakaoTalkの国内利用者は飽和感が強く、広告・コマース市場の競争激化で、従来のように規模拡大で費用を吸収する手法も通じにくくなっている。KakaoTalkの1人当たり月間平均利用時間は4月時点で686分と、前年同月の697分から減少した。

労使対立が長引くほど、組織再編の難度も増す。AI転換では人員構成の見直しが避けられないが、労組の結束が強まるほど会社側の選択肢は狭まる。Kakaoが今年進めたプロダクト組織の二元化や「ユーザー・ファーストTF」の新設も、労使対立と重なることで社内の実行力を損なう可能性があるとの見方が出ている。

労組は29日に「ログオフ・デー」方式の追加ストを予告している。社員が1日の有給休暇を取得し、すべての業務システムからログアウトする方式だ。Kakaoは「早期合意に向け、引き続き労組と対話し協議を進める」とコメントした。

Kakaoの労使双方は17日、本社法人を対象に公式交渉を再開した。10日のスト以降では初の正式協議となる。争議権を確保した他の系列会社についても、交渉日程の調整が進んでいるという。29日のログオフ・デー前に接点を見いだせるかが、今後を占う焦点となる。

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