Shinhan Financial Groupが、グループのスーパーアプリ戦略を銀行アプリ中心の「ワンアプリ」型へと切り替えた。既存の「Shinhan SOLバンク」と「Shinhan スーパーSOL」を統合し、銀行利用者を起点にカード、証券、保険など非銀行サービスの利用拡大につなげる狙いだ。
Shinhan Financialは6月17日、統合金融プラットフォーム「Shinhan スーパーSOL」を公開した。従来はグループ各社の主要機能を連携させる構成だったが、今回の刷新では銀行、証券、カード、保険の機能を1つのアプリに集約した。
今回の見直しのポイントは、「連携」から「統合」への転換にある。これまでは詳細な手続きや取引の際に個別アプリへ移る必要があったが、新たな「Shinhan スーパーSOL」では主要な金融サービスをアプリ内で完結できるようにした。
背景には、従来のスーパーアプリ戦略の限界がある。金融各社は統合アプリを通じて利用時間を伸ばし、クロスセルの基盤づくりを進めてきたが、別アプリの追加インストールや継続利用を前提とした手法には限界があった。
Shinhan Financialが銀行アプリを起点とする統合に踏み切ったのも、既存の銀行顧客を自然にグループの各サービスへ送客する狙いがあるためとみられる。新たなスーパーアプリのインストールを促すより、接点の大きい銀行アプリを中核に据える方が現実的だと判断した格好だ。
今回の刷新では、既存のスーパーSOLが抱えていた制約も浮き彫りになった。チョン・ソンイクShinhan Bank顧客プラットフォーム本部長は「これまでのスーパーSOLに盛り込めたのは、グループ全体業務の30%にとどまっていた」と説明。「カード情報を詳しく見たり、株式機能を使ったりするには、結局カードアプリや証券アプリを改めて使う必要があった」と述べた。
同本部長は、新しい「Shinhan スーパーSOL」の方向性について、銀行、カード、証券、保険の垣根をなくす点を挙げた。「銀行アプリをなくすという意味ではなく、銀行とカード、証券、保険の境界をなくすということだ」とし、「金融商品の加入から株式取引、保険加入まで、1つのアプリで完結できるようにした」と強調した。
ホーム画面も大きく見直した。従来はバナーやメニュー中心で利用者ごとの差が出にくかったが、新アプリではよく使う機能をユーザー自身が前面に配置し、不要な情報は非表示にできるようにした。資産、消費、証券、保険などの金融情報に加え、「SOL野球」「50プラス歩こう」「給与クラブ」などの特典サービスも任意の順番で並べられる。
ホーム画面の最上部には「今日」エリアを新設した。給与日、カード決済日、融資満期日など、その日に確認が必要な金融情報を優先表示する。チョン本部長は「本来なら広告が入る最上部のスペースを顧客に返した」と説明した。
商品エリアでは、銀行商品と証券商品を1画面で比較できるようにした。これまで銀行のIRPと証券のIRPは別々のアプリで確認する必要があったが、新しい「Shinhan スーパーSOL」ではShinhan BankのIRPとShinhan Investment & SecuritiesのIRPを同じ画面で見比べられる。旅行、健康、資産形成など関心分野ごとの推薦商品や、同年代に人気の商品、最近閲覧した商品を提示する「発見」エリアも設けた。
◆SOL LINKで銀行資金を株式取引へ接続
代表サービスとして打ち出したのが、銀行の入出金機能と株式投資機能を組み合わせた「Shinhan SOL LINK」だ。銀行口座に置いた資金を別途振り替えることなく、リアルタイムで株式の売買資金として使える銀行・証券連携型の商品で、スーパーSOL内で銀行口座と証券口座を同時に開設し、そのまま株式取引を始められる。
Shinhan Financialは、SOL LINKを資本市場への資金シフトに対応する戦略商品と位置付けている。
ヤン・ジングンShinhan Investment & Securitiesプラットフォーム事業本部長は発表会で、「最近、4大銀行の要求払預金とMMDAから54兆ウォンの資金が流出し、株式市場周辺の待機資金として流入した」と説明した上で、「株式投資人口も1400万人を超えた。投資は一部の人のものではなく、誰もが行う金融活動になった」と述べた。
同本部長は、SOL LINKの要点について、銀行顧客の投資参入ハードルを下げることだと説明した。「顧客はスーパーSOLで銀行口座と証券口座を同時に開設し、別途の資金振替なしにすぐ株式を売買できる」とし、「銀行口座に預けた資金をリアルタイムの売買資金として活用できる」と話した。
手数料面での競争力も訴求する。SOL LINKの株式売買手数料は、国内株が0.01%、海外株が0.07%。Shinhan Financialは、証券口座の開設や資金振替で銀行顧客が感じていた不便を減らし、グループ内の資金の流れを証券取引へつなげたい考えだ。
株式取引画面もスーパーSOL内で前面に打ち出す。メインメニューに株式タブを設け、どの画面からでも株式サービスへ移動できるようにした。注文方式は、利用者の投資経験に応じて簡便注文と一般注文を選べる。
◆AIと生活サービスも搭載、焦点は利用定着
AIを活用した投資支援機能も盛り込んだ。Shinhan Financialによると、スーパーSOLのAI PB機能は、顧客の関心銘柄や保有銘柄、市場情報を収集・要約し、投資判断を支援する設計だ。ヤン本部長は「情報があふれる中で、検索や選別の手間をAI PBが代替する」と述べ、「遠からずAIが投資エージェントへ進化する姿も見られるだろう」と語った。
AIエージェント機能は投資分野にとどまらず、金融業務全般へ広げる。顧客がメニューを探さなくても、キーワード入力や対話だけで金融手続きを進められる設計で、「振替限度額を変更して」といった指示にも対応する。チョン本部長は、対話だけで完結できる業務は50種類に達すると説明した。
統合AIは、質問内容に応じて銀行、カード、証券、保険の各領域を切り分けて接続する。例えば「Tesla株の動向は」といった質問は証券領域へ、「保険料の引き落とし口座を変更したい」といった要望には保険と銀行業務を連携して案内する。金融業務の実行は検証済みのシステムを通じて行い、AIが対話を理解し、金融システムが処理する構造だとしている。
野球やランニングなどの生活コンテンツも取り込み、非金融サービスも強化した。「SOL野球」では実際の試合データを基にチーム編成や勝敗予想に参加できる。「Shinhan 50プラス走ろう」では走行活動に応じてポイントとランニングレポートを提供する。獲得したポイントは口座入金や友人への送付、専用ショッピングモールでの決済に使える。
家族向け金融サービス「SOLファミリー」も新たに投入する。子どもの入出金口座やファンド口座を親のアカウントで開設・照会できるほか、小遣い管理や異常取引アラート機能も備える。Shinhan Financialは、子どもの金融管理と親の安心機能を1つの家族向け金融サービスに統合する方針だ。
今後の焦点は、統合後の実際の利用定着にある。金融業界のスーパーアプリ競争では、単純なインストール数よりも、月間アクティブ利用者数や取引への転換率、非銀行サービスの利用頻度の重要性が高まっている。Shinhan Financialとしては、新しいスーパーSOLで銀行顧客の利用を維持しながら、証券、カード、保険の利用をどこまで伸ばせるかが課題となる。
銀行アプリ利用者を証券、カード、保険の顧客へ広げられなければ、統合アプリの効果は限られる。銀行機能を1つのアプリに集約するだけでなく、グループの中核サービスの実利用につなげられるかが、今回の再編の成否を左右しそうだ。
チン・オクトンShinhan Financial会長は「新しいShinhan スーパーSOLは、単なるアプリ改編ではなく、銀行、カード、証券、保険を1つのアプリで実現したオールインワン金融プラットフォームだ」と述べた。その上で、「専用商品のShinhan SOL LINK、個別最適化したUI・UX、AIエージェント基盤のサービスを通じて、これまでにない新しい金融体験を提供する」と語った。