日本銀行が政策金利を約1%に引き上げ、約30年ぶりの高水準とした。もっとも、ビットコインを含む暗号資産市場に大きな混乱は見られず、相場は総じて落ち着いた推移となった。
Decryptによると、日銀は金融政策決定会合で7対1の賛成多数により新たな政策金利の方針を決定した。利上げは17日に実施された。
一般に、日本の利上げは暗号資産を含むリスク資産の重荷になりやすい。低金利の円を調達して海外の高利回り資産に振り向ける円キャリートレードが縮小すれば、世界の流動性が細る可能性があるためだ。今回は、利上げがある程度事前に織り込まれていたうえ、レバレッジポジションもあらかじめ圧縮されていたことから、影響は限られたとの見方が出ている。
実際、ビットコインは6万6000ドル前後で推移した。暗号資産全体の時価総額は約2兆3400億ドルと1.4%減少したが、急速な売りにはつながらなかった。ビットコイン先物の建玉も前日から減っており、大規模な清算連鎖が起きにくい地合いだったとみられる。
利上げに先立っては、米国とイランの停戦合意が暗号資産市場の支援材料となっていた。ドナルド・トランプ米大統領が週末にイランとの合意を発表した後、中東情勢を巡る緊張が和らぎ、ビットコインは6万ドル台前半から6万5000ドルを上回る水準まで上昇した。署名は20日に予定されている。
市場では、日本発のショックは過去ほど強くなかったとの受け止めが広がっている。Tiger Researchのチーフアナリスト、ライアン・ユン氏は、今回は円キャリートレードが暗号資産市場や世界の株式市場に目立った混乱をもたらさなかったと指摘した。過去のキャリートレードショックの記憶は残るものの、市場はすでに当時の打撃から回復しており、投資家心理も過度には悪化しなかったと説明した。
Santimentの創業者兼CEO、マキシム・バラシェビッチ氏も、日銀の利上げによる影響が小さかった背景として、事前の織り込みを挙げた。市場がすでに相当程度を価格に反映していたため、材料としての重みが以前より薄れていたという。今後は、まだ十分に織り込まれていない将来の出来事が相場を大きく動かす可能性があるとも述べた。
日銀は利上げとあわせて、長期金利が急騰した場合には国債買い入れを増やす方針も示した。金融引き締めの強度を一気に高める考えはないことをにじませた形だ。加えて、2027年初めまで四半期ごとに2000億円規模で国債買い入れを減額し、その後は2兆円水準で維持する計画も改めて確認した。
日本経済については、緩やかな回復基調が続いているとの認識を示した。中東を巡る不確実性は残るものの、企業収益の改善と堅調な雇用環境が景気の下押し圧力を和らげていると判断した。政府によるエネルギー費用の負担軽減策も、景気の急減速リスクを抑える要因として挙げた。
今回の利上げは、暗号資産市場に直ちに強い売り圧力をもたらすというより、流動性縮小への懸念が実際の価格下落に発展するかを見極める局面だったといえる。市場の関心は、日本の政策変更そのものよりも、それが今後、米国市場の流動性を実際にどの程度押し下げるかに向かっている。