日本銀行(BoJ)の利上げを受け、暗号資産市場でビットコインの下押し懸念が強まっている。市場では、円調達コストの上昇が世界のリスク資産市場の流動性を細らせるとの見方が広がっており、ビットコインが心理的節目の6万ドルを再び試す可能性も意識されている。
Cointelegraphによると、日銀は16日、短期政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.0%とした。1995年以降で最も高い水準という。
ビットコインは同日、直近高値の6万7250ドルから約2.5%下落した。6月に入ってからの上昇基調はなお維持しているものの、市場では今回の利上げを単なる短期的な値動きではなく、グローバルな流動性環境の変化を示すシグナルとして捉える向きが出ている。
焦点となっているのは、日本の利上げがリスク資産全般の資金環境に与える影響だ。日本は長年の超低金利を背景に、低コストの円資金をグローバル市場に供給してきた。
金利が低い局面では、円を低コストで調達し、株式や暗号資産などに投資する円キャリー取引が活発化しやすい。金利上昇局面では、こうした取引の妙味は薄れる。
実際、円建ての調達ポジションを解消する動きが広がれば、ビットコインを含むリスク資産には売り圧力が強まりやすい。
過去の値動きも警戒感を裏付けている。直近4回の日銀利上げ後30日間で、ビットコインは平均5.74%下落した。
内訳を見ると、2024年3月の利上げ後は5.59%安、2024年7月は10.89%安、2025年1月は14.77%安だった。上昇したのは2025年12月の1回だけで、このときは30日間で8.31%上昇した。
もっとも、この反発については、2025年10月の高値後に急落した後の局面で、相場がすでに売られ過ぎの状態にあった可能性が指摘されている。
平均下落率の5.74%を足元の6万6500ドル前後に当てはめると、当面の下値めどは6万2700ドル付近となる。これは、チャート上で需要が意識されやすい5万9000〜6万2000ドル帯のすぐ上に位置する。
調整幅が2024年7月並みなら5万9200ドル、2025年1月並みに拡大した場合は5万6700ドルまで下落する余地があるとの試算も出ている。
さらに深い調整の可能性を指摘する声もある。暗号資産アナリストのゲルラが共有したチャートによると、2024年3月以降の日銀の政策決定後に続いた調整局面では、ビットコインが26〜38%下落した例もあったという。短期的な反落にとどまらず、中期的な調整に発展する可能性を示唆する内容だ。
Bitwise Europeのリサーチ責任者、アンドレ・ドラゴシュ氏は、日銀の利上げサイクルが歴史的に米国の景気後退局面と重なってきたと指摘した。現時点での例外として、新型コロナウイルス禍のショック局面を挙げている。
同氏の見方は、日本の金融引き締めがグローバル景気サイクルの後半に起きやすく、その局面ではインフレ圧力が高まる一方、リスク資産を支えてきた流動性が弱まりやすいことを示している。
今回の利上げの背景には、エネルギーコストの上昇に加え、中東情勢に起因する供給混乱を背景としたインフレ圧力がある。市場の関心はビットコインの値動きそのものだけでなく、円の調達コスト上昇が世界の資産市場全体に及ぼす波及効果にも向かっている。
こうした環境下では、ビットコインの短期的な方向感は6万ドル前半での下値支持と、グローバルなリスク選好の持ち直しに左右される見通しだ。日本発の金融引き締めが借り入れを活用した投資の縮小につながれば、ビットコインは直近の反発分を吐き出し、6万ドルの再テストに向かう可能性がある。