シザードアを採用した2人乗りロボタクシー「Cybercab」 写真=Tesla

Teslaの2人乗り自動運転ロボタクシー「Cybercab」について、米環境保護庁(EPA)の認証資料から主要仕様が明らかになった。認証上の複合航続距離は673km、平均電費は10.4km/kWhで、高い電力効率を示した。一方で、市場では自家用車を置き換えるにはコストや利便性の面で課題が大きいとの見方も出ている。

Teslaは5月12日に適合性認証(Certificate of Conformity)を申請し、5月26日に最終認証を取得した。

認証資料(テストグループTTSLV00.0L1A)によると、Cybercabは326V、47.6kWhのバッテリーと、163kW(219hp)のAC永久磁石モーターを搭載する。車両重量は1412kgで、TeslaのModel 3より約340kg軽い。

駆動方式は前輪駆動(FWD)を採用した。後輪駆動や四輪駆動を中心としてきた既存ラインアップとは異なり、コスト低減と軽量化を意識した設計とみられる。

EPA認証上の試験室ベースの複合航続距離は673km、高速道路モードでは604kmだった。実走行ベースでは約470km程度になるとの見方もある。平均電費は10.4km/kWhで、EPA認証を受けたEVとしては過去最高水準の効率だという。

満充電には208Vのレベル2充電で53.365kWhを要し、バッテリー容量47.6kWhに対して約12%が充電ロスとなる計算だ。炭素、窒素酸化物、粒子状物質などについても、想定耐用距離24万kmを通じて排出ゼロと認定された。

あわせて、EPAの最高区分であるTier 3 Bin 0と、カリフォルニア州のZEV基準を満たし、連邦の低排出車(ILEV)区分も取得した。

試験は、4月20日時点で既に3475km走行していた実使用車両で行われた。新車ではなく、走行履歴のある車両でも同等の数値が得られた格好だ。回生ブレーキは前輪に電気式で適用された。

ただ、市場浸透のカギはスペックではなく実用性にある。ロボタクシーはタクシーやUberなどの配車市場には食い込む可能性がある一方、一般的な乗用車市場まで広く置き換えるのは容易ではないとの分析が広がっている。

とりわけ論点となるのがコストだ。米国でガソリン車を新車購入し、5年間保有して走行した場合、自家用車の運用コストは1km当たり約0.47~0.62ドルとされる。

これに対し、ロボタクシー事業者は運行コストを1km当たり0.25ドルまで下げても、企業の運営費まで含めれば1km当たり0.50ドル以上を請求する必要があるという。運転手の人件費が不要でも、自家用車を手放す決定打にはなりにくいとの指摘だ。

Teslaの社内研究でも、ロボタクシー事業は収益性の面で魅力に乏しいとの結論に至り、イーロン・マスク氏がこれを退けたと伝えられている。

利便性の壁も大きい。自家用車であれば使いたい時にすぐ出発できるが、ロボタクシーは配車後に到着を待つ必要がある。迎車走行や回送といった追加走行が積み上がれば、高効率でも最終的な利用コストは自家用車を上回る可能性がある。

自動運転が普及すれば、他世帯の車両を融通し合いやすくなり、結果としてロボタクシーへ乗り換える理由が薄れるという見方もある。

専門家は、米国でのロボタクシー販売は年間5万台未満にとどまるとみている。仕様の優位性だけでは、コスト、利便性、交通渋滞という3つの壁を同時に超えられず、市場構造を大きく変えるのは難しいという説明だ。

CybercabがEPA認証を受けたEVの中でも最高水準の効率を持つことは、今回の資料で裏付けられた。ただ、どれほど効率が高くても、同じ移動需要を満たすには空車回送などで走行距離が増えやすいという構造的な課題は残る。

Teslaに求められるのは、バッテリー容量や航続距離の実証だけではない。消費者に自家用車を持たない選択を促せる事業モデルを示せるかが、今後の焦点となる。

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