Bank of Americaは15日(現地時間)、ビットコイン採掘企業TeraWulfを投資判断「買い」、目標株価34ドルで調査を開始した。ビットコイン採掘中心の事業からAIデータセンターへ軸足を移す戦略を前向きに評価した。
担当アナリストのマイケル・ファンク氏は、リサーチノートで同社の事業転換に注目した。従来の採掘事業そのものより、既存の設備や電力インフラをAI向けに転用する余地を重視した格好だ。
TeraWulfは、これまでビットコイン採掘に使ってきた設備や電力基盤を、高性能計算(HPC)に対応したAIワークロード向け施設へ振り向けている。電力、用地、運用ノウハウをAIデータセンター需要に合わせて再活用する戦略といえる。
AIデータセンター需要の拡大も追い風となっている。TeraWulfは2030年までに、中核となるIT負荷容量を1.8〜3.0ギガワットへ拡大する目標を掲げている。ビットコイン採掘企業の枠を超え、大規模なAIインフラ事業者への転換を目指す構想とみられる。
Googleの関与も市場の関心を集めている。施設の稼働開始を条件に、Googleは関連債務の保証で合意したという。AIインフラ需要が、大手テック企業と採掘インフラ企業を結び付ける構図が鮮明になっている。
株式市場も反応している。TeraWulf株は過去1年で約548%上昇し、足元では28ドル前後で推移している。Bernsteinも同社に強気の見方を示し、AI向け転換戦略を支持した。
こうした動きは、暗号資産業界にとどまる話ではない。ビットコイン採掘では電力、設備、用地の確保が競争力の源泉となるため、同じ資産をAIデータセンター向けに振り向ける戦略は、暗号資産インフラとAIインフラの接点が広がっていることを示している。
もっとも、事業転換がすぐに安定収益につながるかはなお見極めが必要だ。AIデータセンターの拡張には、多額の資本支出に加え、長期契約や電力確保が欠かせない。採掘インフラをAI向けに転用しても、稼働率や顧客獲得の成否によって企業価値の評価は大きく変わり得る。
TeraWulfの事例は、ビットコイン採掘企業の評価軸が採掘量の拡大だけでなく、AIインフラへの転換力へ移りつつあることを示している。確保済みの電力資産とデータセンター拡張計画を実需に結び付けられるかが、今後の株価と企業価値を左右する主要なポイントとなりそうだ。