写真=Reve AI。Strategyのビットコイン戦略が、単純な保有にとどまらず信用商品や資金調達の枠組みと結び付いていることを示した。

Strategyのマイケル・セイラー会長は、同社によるビットコイン売却について、投資戦略の転換ではなく、配当型証券やビットコインを担保とする信用商品の発行を維持するための措置だと説明した。

ブロックチェーンメディアのCointelegraphが13日付で報じたところによると、セイラー氏はチェコで開かれた「BTC Prague」で、「Strategyはビットコインを売却できる能力を維持しなければならない。そうしてこそ、デジタル信用商品を継続的に発行できる」と述べた。

この発言は、同社が1日に米証券取引委員会(SEC)へ提出した開示で32BTCの売却を明らかにした後に出たものだ。公式に報告されたビットコイン売却としては、2022年以降で初めてとなる。

セイラー氏はこれまで、「ビットコインは絶対に売るな」とのメッセージを繰り返してきた。このため市場では、今回の売却が従来の姿勢と矛盾するのではないかとの見方も出ていた。

これに対し同氏は、ビットコインを財務資産として保有する企業であっても、必要に応じて資産を処分できる流動性を確保すべきだと説明した。「会社の方針が『ビットコインを絶対に売らない』に固定されれば、信用も株式も成り立たない」と述べた上で、ビットコインを担保とする配当型証券や信用商品を組成するには、担保資産を必要に応じて現金化できる仕組みが不可欠だとの認識を示した。

セイラー氏は、その代表例としてStrategyの優先株商品「STRC」を挙げた。STRCについて、同社のビットコインを中核とするバランスシートを基盤に発行する「デジタル信用(Digital Credit)」商品と位置付け、追加のビットコイン購入資金を調達する中核手段になっていると説明した。

同氏は、デジタル信用市場を金融業界の次世代の成長領域と評価した。「ビットコインが資本のデジタル転換なら、STRCは信用のデジタル転換だ」と述べ、「デジタル信用商品は最大8%水準の収益を提供でき、従来の預金商品より3〜4倍高い」と主張した。

一方、こうした仕組みはすでに市場変動の影響を受けている。セイラー氏が例に挙げたApix Financeの合成ステーブルコイン「apxUSD」は4日、1ドルのペッグを割り込み、0.90ドルまで下落した。

当時はビットコイン価格が6万3000ドルを下回り、主要な担保資産であるSTRCも額面の100ドルを割り込んだ。Apix Financeは、担保価値の下落に加え、市場流動性の低下やデリバティブ中心の取引拡大がディペッグの主因だと説明した。記事執筆時点でapxUSDは0.96ドルで取引されており、1ドルのペッグは完全には回復していない。

市場では今回の発言について、Strategyのビットコイン戦略が単純な買い増しの段階を超え、ビットコインを基盤とする配当型証券や信用商品を含むエコシステムの構築へと広がっていることを示すものだとの見方が出ている。セイラー氏自身も、ビットコインを単に保有するより、担保として活用して信用を創出する構造の方が大きな市場機会を生むとの認識を示している。

もっとも、足元の事例は、ビットコイン価格と関連証券の価格が同時に下落した場合、このデジタル信用モデルが大きな圧力にさらされ得ることも浮き彫りにした。

市場の関心は、ビットコインを財務に組み込む企業が保有資産をどこまで積み増すかから、担保に基づく信用商品や配当の仕組みをどこまで安定的に運営できるかへ移りつつある。

今回のビットコイン売却についても、買い増し戦略の後退ではなく、ビットコインを基盤とする金融商品エコシステムを維持するための運用手段と受け止める見方が出ている。

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