米連邦捜査局(FBI)は、アラバマ州ハンツビルのキャンパス内に、サイバー攻撃の再現と捜査訓練を目的とした模擬都市型施設「Kinetic Cyber Range」を整備し、公開した。TechCrunchが13日(現地時間)に報じた。
Kinetic Cyber Rangeは2025年2月に開設された。約2万2000平方フィートの施設内に、住宅、ホテル、ガソリンスタンド、食料品店、裁判所、病院、電力会社などを実物大で再現し、道路や信号機も設けた。米国の地域社会を模した構成となっている。
FBIによると、開設後は捜査官のほか、連邦機関や地方機関の関係者ら1400人以上が訓練を受けた。
施設内には、実環境に近い形で稼働する機器やシステムを配備し、訓練用の攻撃が外部環境に影響しないよう隔離している。200台超のWindowsおよびLinuxサーバを備えたデータセンターも設置し、侵害対応や令状執行時に直面する企業のIT環境を再現できるようにした。
FBIがこうした施設を整備した背景には、サイバー犯罪被害の急増がある。FBIの「2025年インターネット犯罪報告書」によると、同局が受理した通報は100万件を超え、米国のサイバー犯罪被害額は過去最多の209億ドルに達した。前年比では26%増で、ランサムウェアは重要インフラに対する最大級の脅威として位置付けられた。
同施設では、ランサムウェア攻撃とその波及的な影響も再現する。病院システムの停止など、人命に関わりかねない局面を想定し、捜査官の初動判断を鍛える狙いだ。
デジタルフォレンジックの教育も行う。TechCrunchによると、AppleやGoogleなどのメーカーに未公表の脆弱性を使って暗号化された端末のロックを解除し、データを抽出する手法も扱うとされ、議論を呼ぶ可能性もある。