hyは21日、出資、生産、知的財産(IP)を組み合わせた合弁モデルで米国市場の開拓を進めると明らかにした。HYBEとの米国合弁会社HYH Americaを通じて新たな飲食ブランド「ARIH」を立ち上げ、4月24日から米Walmartで販売を開始する。単純な輸出や一時的なコラボレーションとは異なる海外展開の形として打ち出す。
業界によると、hyとPaldoは24日、米Walmartでの取り扱い開始を機にARIH製品を発売する。ARIHは、ブランド企画の段階からBTSが関与したブランドだという。
この取り組みの背景には、hy、Paldo、HYBEが昨年設立した米国合弁会社HYH Americaがある。hyを軸に、HYBEとPaldoが加わる共同出資の枠組みで、ブランド運営も共同で進める。
hyにとっては、より安定した海外事業基盤の構築につなげる狙いがあるとみられる。食品企業によるIP活用は、限定パッケージや広告起用、販促施策にとどまるケースが多い。これに対しARIHは、企画段階からBTSの意見を反映し、出資と共同運営まで組み込んだ点に特徴がある。
hyによると、BTSはブランド名、コンセプト、味、製品の方向性など、企画初期から開発に参加した。アーティストとの協業を前提に設計し、共同出資と共同運営の仕組みも取り入れたとしている。
hyは2018年から、BTSのIPを活用した「コールドブリュー by バビンスキー BTSパッケージ」を展開してきた。当時はIP活用によるマーケティング色が濃かったが、ARIHはBTSのIPを単発施策ではなく、中長期の事業資産として活用する点が異なる。
合弁会社の設立と新ブランド投入の背景には、hyの業績悪化もある。金融監督院の電子公示システムによると、hyの2024年連結業績は売上高が1兆6826億ウォン、営業損失が645億ウォンだった。売上高は2023年の1兆5191億ウォンから増加した一方、営業損失は245億ウォンから645億ウォンへ拡大した。
業界では、内需依存の事業構造だけでは成長に限界があるとの見方が出ており、hyが本格的にグローバル市場へ軸足を広げたとの受け止めがある。韓国の食品業界で、内需成長の鈍化を背景に海外市場を模索する動きが広がっている流れとも重なる。
今回の方針は、hyがこれまで進めてきた新規事業とも性格が異なる。hyは2021年、総合流通企業への転換を掲げて韓国ヤクルトからhyへ社名を変更し、宅配アプリ「Nock」、海外医療事業への投資、教育事業などを展開してきた。一方、HYH AmericaとARIHは、本業である飲食分野でのグローバル拡大策と位置付けられる。
hyはすでに一部製品で海外市場の開拓を進めている。2025年には、発酵乳「ヘリコバクター・プロジェクト ウィル」を中国と、米国のアジア系スーパー「H Mart」チェーンで販売した。ただ今回は、単一商品の輸出にとどまらず、ブランド単位で米大手流通のWalmartに展開する点でアプローチが異なる。
ARIHは今月、Walmartの実店舗とオンラインモールで初期販売を始め、翌月末には韓国国内でも発売する予定だ。まず米国の大手流通チャネルで投入し、その後に韓国市場へ広げる手法は飲食分野では異例という。hyは、グローバル大手流通網であるWalmartを通じた初期定着に有利とみており、韓国内の販売チャネルについては現在協議中としている。
ARIHの初期ラインアップは、hyとPaldoの主力事業をベースに構成した。Paldoが炒め麺14種類とポストバイオティクスのエナジードリンクを、hyがデュアルバイオティクスのソーダをそれぞれ製造・販売する。両社で生産能力と製品群を分担し、相乗効果を狙う。
hyの関係者は「ARIHは単なるコラボレーションにとどまらず、海外市場でも長期的に支持されるブランドを目指して企画した。まずはWalmartでの早期定着を優先し、今後は追加の流通網も検討していく」とコメントした。
一方で、共同出資とIP活用の組み合わせが実際の販売実績や収益性の改善につながるかは、なお見極めが必要だ。Walmartで初期認知を獲得しても、継続購入とブランドの持続性を示せるかが課題となる。業界では、ARIHがhyの事業多角化とグローバル拡大戦略を占う試金石になるとの見方も出ている。