Bitcoinがすでに安値圏を通過した可能性がある――。Galaxy Digitalでリサーチ責任者を務めるアレックス・ソン氏は、50週移動平均線の回復と8万ドル近辺での底堅い値動きを根拠に、相場が底打ち局面に入った可能性を指摘した。
10月30日付のBitcoin Magazineによると、ソン氏はBitcoinの反発を支える材料として、50週移動平均線の回復と8万ドル前後での下値の堅さを挙げた。
ソン氏は、Bitcoinが20週超にわたって50週移動平均線を下回った後、同線を回復して以降は新たな安値を付けていないと説明した。今回も同様に、安値通過を示すサインとみることができるという。
加えて、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利判断後も、Bitcoinが8万ドル前後で下値を維持した点を重視した。AI関連の懸念で市場が揺れる局面でも大きく崩れなかったことは、相場の底堅さを示しているとの見方を示した。
需給面では、過熱感よりもポジションの偏りが大きくない点に注目した。価格が持ち直しても追随買いが過度に膨らんでおらず、通常なら反発局面で強まりやすい楽観ムードも明確ではないと指摘した。その上で、足元のBitcoin強気論は、なお逆張り的な見方に近いと述べた。
投資家層の変化にも言及した。13F開示の動向を踏まえると、ヘッジファンドの比率は低下する一方、政府系ファンドや資産運用会社の参加は増えているという。短期の値ざやを狙う資金より、長期志向の資金の存在感が相対的に高まっており、Bitcoin市場の需給構造が従来とは異なる形に変わりつつあるとの見方を示した。
このほか、足元で市場を揺らしたトークン化への期待やナラティブの変化、ベーシス取引にも触れた。ただ、ソン氏の議論の軸は流行テーマではなく、Bitcoinの構造的な位置付けにある。AIインフラの拡大は通貨価値の希薄化を促す力になり得るとし、米国の債務拡大と財政優位の環境下では、Bitcoinが「デジタルゴールド」としての役割を担う可能性があるとの見方も改めて示した。
セキュリティ面も論点に挙げた。ソン氏は、AIを活用したサイバー攻撃のリスクに触れ、ハードウェアウォレットとマルチシグ管理の重要性を指摘。価格見通しとは別に、市場拡大局面では資産保管とセキュリティ体制の整備が一段と重要になるとの認識を示した。
今回の発言は単純な価格予想ではなく、どのシグナルと資金フローをもとに底打ちを判断するかに主眼がある。50週移動平均線の回復、8万ドル近辺での下値の堅さ、過度な楽観の不在、投資家層の変化が同時に確認されているためだ。市場は今後、Bitcoinが追加下落ではなくトレンド転換に向かうのか、長期資金の流入が続くのかを見極める局面となりそうだ。