日本でAIを悪用したサイバー攻撃が相次いでいる。電力・ガス取引情報の公式Webサイトへの侵害や金融関連システムを巡る被害が明らかになる中、日本政府は事後対応中心の姿勢を見直し、通信トラフィックの監視を通じた未然防止へ軸足を移している。
ブルームバーグ通信によると、日本政府は28日、電力・ガス取引情報の公式Webサイトがサイバー攻撃を受けたと発表した。数日前には、外為取引プラットフォームを運営するGMO Internet Groupの顧客情報をハッカーが大量に公開したと主張する事案もあった。
先週には、プログラミング言語PHPの脆弱性が判明し、Mizuho Financial Groupなどが緊急対応に乗り出した。
マクニカ・セキュリティ研究センターによると、7月以降に日本で報告された攻撃は少なくとも81件に上る。これは直近3年間に確認された攻撃の約3分の1に相当する。
同センターのセジヤマ・ユタカ副センター長は、「ハッカーが個人情報を扱う公開Webシステムを無差別に狙っている」と指摘した。
TrendAIのトム・ケラーマン副社長は、多くの攻撃の背後にLockBitやKilinなど、ロシア語圏の犯罪組織がいるとの見方を示した。
一部では、北朝鮮のハッカーが協力していた可能性も指摘されている。専門家は、AIエージェントやオープンソースのハッキングツールの普及により、犯罪組織が日本の老朽化したインフラを突き、言語の壁も乗り越えやすくなっているとみている。
中国で開発された防御点検用のAIツール「Artex」についても、複数の攻撃との関連が指摘されている。
高市・サナエ首相は今夏、サイバーセキュリティを国家の優先課題に位置付けた。日本は、事故発生後の対応を中心とした従来の枠組みから、通信トラフィックを監視して脅威を未然に防ぐ方向へ政策を転換している。
あわせて、政府による通信監視を妨げてきた法的制約も緩和した。慶応大学のツチヤ・モトヒロ教授は、「日本は他の主要7カ国(G7)と比べても、はるかに脆弱だ」と述べた。
キハラ・ミノル官房長官は29日、高度なセキュリティ人材の確保が急務だとの認識を示した。