Volkswagenは、EV生産拠点であるドイツ・ツビカウ工場に車両解体ラインを新設し、純正中古部品の販売と原材料の回収事業を本格化した。EV事業の収益性悪化やリストラ圧力が強まるなか、既存工場に新たな収益源を持たせる狙いがある。
InsideEVsが11月1日に報じたところによると、同社はツビカウ工場に8工程の車両解体ラインを整備した。2027年から2交代制で年間4100台を解体し、再訓練を受けた従業員100人を配置する。まずは量産前の試験車を処理し、今後は寿命を迎えた車両にも対象を広げる。
ツビカウ工場は、Volkswagenが2018年から12億ユーロを投じてEV専用工場へ転換した拠点だ。現在はVolkswagen、Audi、CupraのEVを6車種生産している。解体ラインの工事と許認可手続きは9カ月で完了し、当初計画より3カ月前倒しとなった。
同社は7月から、このラインで回収した純正中古部品の販売を始めている。主な品目はドアやバンパー、モーター、トランスミッション関連部品。ディーラーや整備事業者を通じて供給し、修理コストの抑制や車両寿命の長期化につなげる考えだ。プラスチックなどの原材料も分別・回収し、新車向け部品に再利用する計画だが、販売価格や保証条件は公表していない。
Volkswagenは循環型経済事業に最大9000万ユーロを投資し、ザクセン州政府から最大1070万ユーロの支援を受ける。2030年までに年間1万5000台の解体能力へ拡大する目標も掲げた。事業が軌道に乗れば、長期的には最大1000人の雇用を支える可能性がある。
Volkswagenブランドの最高経営責任者(CEO)、トーマス・シェーファー氏は「車両の解体とリサイクルは、単なる廃車処理ではなく、新たな価値を生み出す取り組みだ」と強調した。
もっとも、事業の収益性はなお見極めが必要だ。ツビカウ工場では2031年以降の生産計画がまだ固まっていない。部品再販と資源リサイクルが、厳しい経営環境のなかで工場と雇用を支える新たな事業に育つかが焦点となる。