ハッブル宇宙望遠鏡の延命に向け、NASAが民間案の検討を進める。写真=NASA

米航空宇宙局(NASA)は、宇宙望遠鏡「ハッブル」の寿命延長に向け、民間宇宙企業の技術活用を検討している。軌道低下が進むハッブルをより高い軌道に移し、観測任務の継続を探る考えだ。

The Vergeによると、NASAは10月29日、ハッブルの軌道維持や軌道上整備に関する情報提供要請(RFI)を公表した。民間企業が持つ技術力や運用能力を把握するのが狙い。対象は軌道引き上げに加え、機器の整備や性能向上、任務終了後の安全な大気圏再突入、軌道上での廃棄手法まで含む。

ハッブルは1990年に打ち上げられた。当初の想定寿命は15年だったが、すでにそれを大きく超えて運用が続いている。2009年までに計5回実施されたスペースシャトルによる整備ミッションでは、観測機器の修理や性能向上が重ねられてきた。

一方で、ハッブルには推進装置がなく、自力で高度を維持できない。地球低軌道に残る希薄な大気の抵抗を受け、徐々に軌道が低下している。

NASAは、追加措置を講じなければ、ハッブルが2033~2034年に大気圏へ再突入する可能性が高いとみている。このため、軌道調整などの対応は2032年までに実施する必要があるとしている。現時点で差し迫った状況ではないものの、事前の対応が必要だと判断した。

NASA長官のジャレッド・アイザックマン氏は、「ハッブルには今なお重要な科学ミッションが残されている」としたうえで、「妥当な延命策を幅広く検討すべきだ」と強調した。軌道上資産を革新的かつ費用対効果の高い方法で活用できるのであれば、納税者と科学界の双方にとって検討に値するとの考えを示した。

NASA科学ミッション局副局長のニコラ・フォックス氏は、「民間宇宙産業は衛星捕捉や軌道上整備の分野で新たな能力を獲得しつつある」と述べ、幅広い選択肢を精査する方針を示した。ハッブルは紫外線や可視光の観測などで、現在も重要な科学的役割を担っているという。

NASAは、米東部時間11月30日午後3時まで業界からの回答を受け付ける。ただ、今回のRFIはあくまで技術的な実現可能性を探る段階であり、実際のミッション実施や契約が決まったわけではない。

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