Volkswagenは、次世代EV「ID. Golf」の先行開発を一時停止した。業績悪化を受けたコスト削減策の一環で、独ヴォルフスブルク工場で進めてきた中核的な電動化プロジェクトにも見直しが及んだ。
Electrekによると、同社はヴォルフスブルク工場で進めていた電動Golfの先行開発作業を停止する方針を固めた。ブランドCEOのトーマス・シェーファー氏は社内メモで、「現時点ではこの作業を担う余力がない」として、財務面の厳しさを認めた。
GolfはVolkswagenを代表するハッチバックであり、ヴォルフスブルク工場を象徴する車種でもある。シェーファー氏は「Golfが会社と地域にとって持つ意味は理解している。それだけに今回の決定は容易ではなかった」と説明した。労働者評議会も、開発費の執行停止について、グループの財務負担の重さを示すものと受け止めている。
背景には業績の悪化がある。Volkswagenグループは今年第3四半期に59億ユーロの営業損失を計上した。2015年のディーゼルゲート以降で最大規模の四半期損失という。Porsche持ち分の価値下落に加え、中国市場での販売低迷、EVの収益性悪化が重なった。CFOのアルノ・アントリッツ氏は「時間的な猶予はない」として、迅速な対応の必要性を強調した。
ヴォルフスブルク工場では現在、コスト削減目標に対して約3億ユーロ不足している。監査役会が9月に承認した構造改革計画「未来計画2030」には、世界で10万人規模の人員削減のほか、車種の絞り込みや、ドイツ国内の一部工場で生産を停止する可能性も盛り込まれた。
ID. Golfは、次世代SSPプラットフォームを採用する中核モデルと位置付けられている。当初は2028年の投入を予定していたが、Rivianとの協業によるプラットフォーム開発の遅れを受け、目標時期は2030年へ後ずれした。今回の停止後も、労働者評議会は遅れを取り戻し、従来の発売日程を維持したい考えを示している。
Volkswagenは、内燃機関車のGolf生産を2027年にメキシコへ移管し、電動Golfはヴォルフスブルクで生産する計画自体は維持している。開発再開の時期は、現時点で決まっていない。