中国の人工知能(AI)企業DeepSeekは、複数のAIコーディングエージェントを人の介入を抑えながら同時運用するための設計案を公表した。マルチエージェント運用の制約はモデル性能だけでなく、人の注意力にもあると位置付け、タスク配分や進行調整の自動化を通じて運用負荷の軽減を図る。
Cointelegraphによると、DeepSeekは「DeepSeek Harness」チームの技術論文を通じて、AIコーディングエージェントの自律性を高める手法を提示した。
狙いは、人手で都度行ってきた複数エージェントの調整や進捗確認の負担を減らすことにある。DeepSeekの研究チームは、マルチエージェント運用のボトルネックについて、単一タスクではモデルの能力が限界を左右する一方、複数タスクを並行して進める局面では人の注意力が制約になると分析した。
論文によると、1人が同時に監督できる稼働中のAIエージェントのセッションは3〜5件程度に限られるという。DeepSeekが提案したシステムは、複数エージェントへのタスク配分と進行調整を担うことで、この制約の緩和を目指す。人は個別タスクの管理から離れ、エージェントの出力レビューと意思決定に集中できるとしている。
こうした設計案は、AI開発企業の間でエージェント技術を巡る競争が激しさを増す中で示された。米AnthropicやOpenAIもAIコーディング支援技術の開発を加速しており、DeepSeekも複数エージェントが複雑な作業を自律的に処理する方向性を打ち出した形だ。
DeepSeekは昨年、暗号資産トレーディングの実験でも注目を集めた。Cointelegraphは当時、ブロックチェーン分析プラットフォームCoinglassのデータを引用し、中国のAIモデルが暗号資産取引の実験で米国モデルを上回ったと報じた。実験に参加したAIチャットボットのうち、DeepSeekだけが未実現収益率9.1%を記録し、唯一のプラス収益となった。米国の競合に比べて大幅に低い開発コストで構築された点も関心を集めた。
今回の提案は、AI開発競争の焦点が個別モデルの性能だけでなく、複数エージェントをどこまで効率よく運用できるかにも広がっていることを示している。一方で、今回公表されたのは自律的なエージェント運用に向けた設計案であり、実運用での成果や商用化の状況は明らかになっていない。