Binance創業者のチャンポン・ジャオ(CZ)氏は、約63億ドル規模のセキュリティ侵害発生後もビットコイン相場の下落が限定的にとどまった要因として、FBIなど米法執行機関による盗難資金の追跡・凍結支援を挙げた。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが11月1日(現地時間)に報じたところによると、ジャオ氏はFBIのほか、米国歳入庁(IRS)犯罪捜査局、シークレットサービスが今回の対応で重要な役割を果たしたと説明した。
ジャオ氏は同日、X(旧Twitter)への投稿で、「米国の法執行機関は今回の事件で極めて大きな支援を提供してくれた」とコメント。盗難資金の流れの追跡や一部資金の凍結に協力したことが、ビットコイン相場の一段安回避にもつながったとの認識を示した。
そのうえで、「感謝は1本の投稿では言い尽くせない」とし、ビットコインがさらに大きく下落しなかった背景には、これら機関の対応が大きく寄与したとの見方を示した。
この発言は、FBIがBinanceへの攻撃の背後に北朝鮮系ハッキング組織がいたと公式に特定した直後に出た。FBIは10月31日の発表で、北朝鮮が10月29日前後にBinanceから60億ドル超の暗号資産を奪取したと明らかにした。
当局は、具体的な実行主体として「TraderTraitor」を名指しした。同組織は、過去の大規模な暗号資産窃取にも関与したとされる北朝鮮系サイバー犯罪組織として知られる。
捜査当局によると、ハッカーは盗んだ暗号資産の一部を主にイーサリアムへ交換しており、当局はその動きも追跡している。さらに、当該資産がDeFiプロトコルやインスタント交換サービスを通じて、さらなるマネーロンダリングに使われる可能性があるとして警戒を呼びかけた。
これを受け米当局は、暗号資産事業者やインフラ運営者に対し、ハッカーが利用したアドレスに関連する取引の遮断を要請した。対象には、THORNode運営者、リモート・プロシージャ・コール(RPC)ノード運営者、インスタント交換サービス、ブロックチェーン分析企業、DeFiプラットフォームなどが含まれる。
FBIはあわせて、業界側が不審な取引を検知・阻止できるよう、ハッカーが使用した暗号資産アドレスの一覧も公表した。
市場への影響はすぐに表れた。Binanceのセキュリティ侵害が伝わった後、ビットコインは7万7000ドルを下回り、一時は7万6000ドル前後まで下落。ここ数週間での安値圏を付けた。
イーサリアム、XRP、ソラナ、BNBなど主要暗号資産もそろって下落した。
一方、ビットコインはその後、下げ幅の一部を戻し、1日朝方の取引では7万8000ドル近辺で推移した。市場では、捜査当局による資金追跡やアドレス遮断要請がハッカーの換金ペースを鈍らせ、追加的な売り圧力を抑える要因になったとの見方が出ている。
米当局は、業界全体の協力を通じて、盗難資金のマネーロンダリング経路を早期に遮断することに重点を置いている。