米国で、使わない荷物を預けるセルフストレージ市場が年間売上高400億ドル(約6兆円)を超える規模に拡大している。施設数は、StarbucksやMcDonald'sなど主要小売・外食チェーンの米国内店舗数合計を上回るとの推計もある。
Gigazineが11月1日(現地時間)、米誌The New Yorkerを引用して報じたところによると、米国は世界のセルフストレージ容量の約90%を占める。保管スペースのシェアリングプラットフォームNeighborのCEOは、米国内のセルフストレージ施設数が、Starbucks、McDonald's、Walmart、Home Depot、Domino's Pizza、Dunkin'、Costcoの店舗数を合計した数を上回ると説明した。
セルフストレージは、個人や企業が荷物の保管用として独立したスペースを借りるサービスだ。業界では需要を左右する要因として、死別(Death)、転居(Displacement)、離婚(Divorce)、住居の縮小(Downsizing)の「4つのD」を挙げる。生活環境の変化に伴い、すぐには処分できない物の保管需要が生まれるという。
The New Yorkerはこれに加え、親が「子どもが古い家具を引き継いでくれる」と考えることを5つ目のD「Delusion」と表現した。不要になっても簡単には手放せない消費文化が、市場拡大を後押ししたとの見方を示している。
施設の形態も、平屋の倉庫型から空調を備えた多層型へと変化している。利用者はスマートフォンで料金を比較し、契約から入退室までの手続きを完結できる。運営会社はAIを活用し、競合の料金分析や賃料の見直し、顧客対応の効率化を進めている。自動決済は利便性が高い一方、利用者が解約を先延ばしにしたり、値上げに気付きにくかったりする側面もある。
新型コロナ流行後は、在宅勤務や遠隔授業の広がりで住宅内スペースの確保ニーズが高まったことに加え、住宅ローン金利の上昇で転居が遅れたことも需要を支えた。足元では、キャンピングカーやボート向けの専用保管施設、高級車向けの「カー・コンド」も登場している。
一方、パンデミック期に施設開発が急増した反動で、一部地域では供給過剰も表面化している。米国のセルフストレージ市場は、消費文化と住環境の変化を背景に拡大してきたが、新規供給の増加に伴う採算悪化のリスクも抱えている。