米国のビットコイン現物ETFは31日、6億4320万ドルの純流出となった。10月として最大の日次流出で、Binanceで約64億ドル規模のハッキング被害が伝えられた後、初の通常取引日に資金流出が膨らんだ。
1日付のDecryptによると、米国のビットコイン現物ETFは31日時点で6億4320万ドルの純流出を記録した。29日は1720万ドルの純流入だったが、Binanceの被害が伝わった後の最初の通常取引日には資金の流れが大きく反転した。
今回の流出で、直前4営業日にわたる計4億4100万ドルの純流入も途切れた。ビットコイン現物ETFは週間で約2億200万ドル、10月累計で約5億1600万ドルの純流出となった。上場以来の累計純流入は574億ドルに縮小し、総純資産は1032億ドルとなった。
イーサリアムETFとソラナETFにも売りが広がった。イーサリアムETFは1日で1億5570万ドルの純流出となり、5営業日連続の流出を記録した。この間の累計流出額は約4億3100万ドルで、10月通算では約16億1000万ドルに達した。
ソラナETFも1080万ドルの純流出となった。5営業日連続の流出で、週間の流出額は約7200万ドルに膨らんだ。10月に純流入を確保したのは2営業日のみだった。
暗号資産相場も下落した。ビットコインは31日に約4%下げ、一時7万6400ドル台まで下落した。レバレッジポジションの清算額は13億ドルを超えたという。ただ、1日には7万7520ドル近辺で推移し、24時間ベースでは0.5%上昇した。週次では3.3%安だった。イーサリアムは2251ドル近辺で週次3.9%安、ソラナは96ドル近辺で4.5%下落した。暗号資産全体の時価総額は約2兆7000億ドルを維持した。
もっとも、下げは被害規模の割に限定的との見方もある。ビットコインの下落率は約4%で、2018年にBinanceを狙った攻撃未遂の後に記録した約11%の急落と比べると小幅にとどまった。Binanceは社内資金とユーザー保護基金を活用し、被害額を全額補填すると表明した。TetherとCircleも、盗難に遭ったステーブルコインのうち23億ドル超を凍結した。
ETFへの資金流入出は、機関投資家や金融アドバイザーの投資心理を映す指標とみられている。ビットコイン現物ETFは2024年1月の上場以降、累計574億ドルの純流入を記録した。イーサリアムETFも同年7月の上場以来、累計122億ドルの純流入となっている。発行体が日次の資金フローを開示しているため、市場参加者にとって需要動向を見極める材料になっている。
マクロ環境も重荷となっている。米連邦準備制度理事会(Fed)は先月28日、政策金利を3.75〜4.00%に据え置いたが、委員2人は利上げを主張した。市場では12月利上げの可能性を70%超織り込んでいる。
予測市場でも弱気見通しが強まった。Decryptの親会社Dastanが開発した予測市場「Myriad」では、イーサリアムが3000ドルに達するより先に1500ドルまで下落する可能性が51.3%となった。1週間前は3000ドル到達の可能性が61.3%で優勢だったが、見方は逆転した。ソラナも160ドルより先に40ドルに達する可能性が53.7%に上昇した。
今回の資金流出が一時的なハッキングショックにとどまるのか、それとも暗号資産ETF全体の投資心理悪化につながるのかが当面の焦点だ。Binanceの補填方針やステーブルコインの凍結措置にもかかわらず、主要ETFがそろって純流出となったことで、今後は機関資金の戻りや、イーサリアムETFとソラナETFの流出ペース鈍化に関心が集まりそうだ。