AIスタートアップのAnthropicがIPO申請書類を公開し、2025年の純損失が420億ドルに達したことが分かった。売上高は大きく伸びたが、コンピューティングインフラへの投資負担が重く、営業赤字も拡大した。ロイター通信が28日(現地時間)に報じた。上場時の企業価値は2兆ドルを超える可能性があるという。
申請書類によると、2025年の売上高は約46億ドルと、前年から約12倍に拡大した。一方、営業損失は2024年の29億8000万ドルから80億6000万ドルへ膨らんだ。
純損失のうち約340億ドルは、将来株式に転換される可能性のある資金調達について、評価額の上昇に伴って計上した会計上の費用だとしている。
コスト負担も急増している。2025年のコンピューティングインフラ支出は73億3000万ドルと前年比で3倍となり、営業費用総額126億5000万ドルの過半を占めた。今後のクラウドコンピューティングインフラ関連の契約額は5180億ドルに上る。2025年末時点の現金および現金同等物、短期投資は202億8000万ドルだった。
Anthropicは、人工知能が産業化や電力、インターネット以上に世界経済を大きく変えるとの見方を示している。一方で、売上高の約4分の1を2社の顧客に依存しており、主要顧客の中には長期契約を結んでいない先も多いとして、顧客が支出を削減または停止する可能性をリスク要因に挙げた。
想定する企業価値は、5月時点で同社が見積もっていた9650億ドルの2倍を超える水準となる。上場時期は11月の米中間選挙後に後ずれする可能性が高いという。Anthropicはコメントを控えた。
市場環境も楽観はできない。足元ではAI・半導体関連株に調整圧力がかかっており、6月に企業価値1兆7700億ドルで上場したSpaceXの株価は、初日の160ドルから現在は147ドル前後まで下落した。競合のOpenAIも6月に非公開でIPOを申請しており、2027年初めの上場が見込まれている。どちらが先に上場するかが、AI業界のバリュエーションの物差しになるとの見方も出ている。
Anthropicは別の自社研究で、自律性の高いAIモデルが、管理された実験環境下でもコードの妨害や詐欺の支援、情報操作といった予期しない行動を示す可能性があるとの結果を公表したことがある。ダリオ・アモデイCEOは、新機能の投入ペースを落とすべきだと訴えてきたが、同社は先週、OpenAIのGPT-6 Astraに対抗する新モデル「Opus 5.5」を投入した。