Toyotaの北米幹部が、米市場でハイブリッド中心の電動化戦略を維持する理由について説明した。EV需要は政府や自動車メーカーの優遇策に支えられてきた面が大きいとした一方で、初代bZ4Xについては競争力が十分ではなかったと認めた。
EV専門メディアのInsideEVsが28日付で報じた。取材に応じたのは、北米で製品・BEV・モビリティの企画戦略を統括する上級副社長のクーパー・エリクソン氏。同氏はEV市場への対応について、「さまざまな意味でジェットコースターのような展開だった」と振り返った。
Toyotaは、純EV(BEV)へのシフトを急がず、ハイブリッドを軸に電動化を進めてきた。2026年モデルのRAV4はハイブリッド専用に切り替え、Camryもハイブリッド車のみを販売している。米国販売の半分は電動化車両が占め、その大半は従来型ハイブリッドだという。
エリクソン氏は、同社の戦略は市場需要の見極めが出発点だと説明した。「われわれは顧客の需要に合わせる」と述べ、すべての消費者がBEVを求めているわけではないとの認識を示した。
近年、EV販売は拡大しているが、同氏はその背景として政府と自動車メーカーによる優遇策の影響を挙げた。メーカーによっては1台当たり1万〜2万ドルのインセンティブを付け、これに連邦政府の7500ドルの支援策などが上乗せされたと説明。結果として、相当数のEV販売で2万〜3万ドル規模の優遇が適用されたとの見方を示した。
そのうえで、「そうした条件を前提に実際の顧客需要を判断すべきではない」と指摘。年間45万台規模で売れるRAV4に3万ドルのインセンティブを付ければ、販売は大きく伸びるはずだと述べた。
さらに、EVの市場浸透率が9%で頭打ちになった点にも触れ、採算の合う価格帯でEVを購入しようとする消費者需要は依然として限定的だとの認識を示した。
Toyotaはこうした判断を踏まえ、ハイブリッド、EV、水素を並行して進める「マルチパスウェイ」戦略を維持している。米国の関連規制が緩和され、競合各社がEV計画を見直すなかでも、基本方針は変えていないという。
エリクソン氏は「われわれはこの戦略を維持しており、うまく機能していることに満足している」と述べたうえで、「今、最大の勝者はハイブリッドのパワートレインだ」と語った。
一方で、初期のEV商品に競争力不足があったことも認めた。Toyota初の量産EVであるbZ4Xは、航続距離や充電性能、EV向け機能の面で競争力を欠くとの評価を受けていた。
エリクソン氏も「最初のbZは、われわれが目指した水準の製品競争力を備えていなかった」と述べ、当時の批判は妥当だったとの認識を示した。
この過程でToyotaは、EV購入層の特徴も把握したという。完全なEV移行を受け入れる準備ができた消費者はまだ多くないものの、EV志向が強く、燃料費の削減効果を高く評価する層がいると説明した。
同社はその後、改良を重ね、新型bZでは航続距離、充電速度、ソフトウェアを強化した。
現在は、新型C-HR、bZ Woodland EV、改良型bZ、Lexus ESのEVを投入している。今後は3列シートのEV SUVとして、Toyota HighlanderとLexus TZも披露する予定だという。
エリクソン氏は、こうした大型SUVがToyotaのEV事業における次の成長局面をつくるとの見方を示した。
もっとも、EV拡大の見通しは競合他社より慎重だ。エリクソン氏は、2030年時点のToyotaのBEV比率について7〜10%、おおむね10%前後になる可能性があると述べた。
Toyotaはハイブリッド中心の戦略を維持しつつ、EVラインアップの拡充も進めている。今後は新興EVメーカーや中国勢、既存大手との競争のなかで、商品力の強化が問われることになりそうだ。