機関投資家によるビットコインとイーサリアムの現物買いが続き、暗号資産市場の資金フローはビットコインと一部の大型アルトコインに集まりつつある。現物の流通量が細る中、今週は米主要経済指標の発表に加え、中国・香港市場の休場も重なり、相場の変動が大きくなる可能性がある。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが28日(現地時間)に報じたところによると、BitMineのイーサリアム保有量は600万1302ETHに達し、総供給量の約4.9%を占めた。Strategyのビットコイン保有量も84万7666BTCまで拡大した。
Strategyはこのほど、1億3800万ドルを投じ、ビットコイン1666BTCを平均8万5681ドルで追加取得したと明らかにした。ビットコインが8万3000〜8万4000ドル近辺で推移する局面でも機関投資家の現物買いは続いており、市場の資金がビットコインとイーサリアムへ一段と集中していることを示している。
今週はマクロ要因も短期相場の波乱要因となる。米国では求人労働異動調査(JOLTS)のほか、国内総生産(GDP)、個人消費支出(PCE)物価指数、非農業部門雇用統計の発表が控える。結果次第では、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策見通しに対する市場の織り込みが変わる可能性がある。
アジア市場の流動性低下も警戒材料だ。中国と香港の株式市場は10月1日から国慶節の連休で休場する。アジア時間帯の出来高が細れば板が薄くなり、米国時間に価格変動が拡大しやすくなる。
アルトコインではXRPとQuant(QNT)の動きが目立つ。Quantは、The Clearing Houseが1日当たり2兆ドル超を処理する銀行間のオンチェーン決済事業で同社アーキテクチャが採用された後、上昇基調を強めた。U.Todayは、QNT価格が70ドル台から350〜370ドル近辺まで上昇したと伝える一方、足元の水準については短期的な過熱を指摘する声もあるとしている。
XRPは1.52ドル前後で推移している。RippleがThe Clearing Houseに直接接続したわけではないものの、金融インフラ事業の拡大を進めている。Rippleのステーブルコイン「RLUSD」は、BlackRockの「BUIDL」やVanEckの「VBILL」など、トークン化ファンド持ち分との直接交換に対応した。
一方、中小型アルトコインには資金流出圧力が出始めている。Coinglassによると、直近7日間で中央集権型取引所から約3万4123BTC、28億ドル相当のビットコインが純流出した。これに対し、CryptoQuantのアナリストは、小型アルトコインの取引所流入が2025年10月以降で最高水準まで増えたと分析した。
中規模投資家の利益確定売りが増える中、相対的に流動性の厚いビットコインとイーサリアムへ資金がシフトしているとの見方が出ている。
トークン化資産の分野では、Binanceの新たな取り組みも始まった。BinanceはMARSCOIN保有者を対象に、SpaceXの未上場株式に連動するトークン「SPCXB」を報酬として付与するプログラムを開始した。現物取引手数料の30%をSPCXBの報酬原資に充て、日次残高のスナップショット時点で少なくとも1万MARSCOINを保有するユーザーを対象とする。ただしBinanceは、bStocksトークンがSpaceXそのものに対する法的権利や議決権を付与するものではないと明記した。
米国の規制環境の変化も、トークン化資産市場の拡大に影響を与えている。米上院は15日、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の権限分担を盛り込んだクラリティ法案を49対50で否決した。その後、両当局はそれぞれの所管範囲で限定的な規制緩和策を打ち出した。
SECは、トークン化株式の取引プラットフォームと自動マーケットメイカー(AMM)の流動性供給者を対象に、一部規制の適用を緩和する「イノベーション免除命令」を出した。CFTCも、資産をカストディせず、注文経路を制御しない受動型の取引ソフト開発者について、一定条件の下でブローカー登録義務を免除するスタッフレターを公表した。
今週の暗号資産市場は、機関投資家の現物買いが続く中で、経済指標と流動性の変化が相場を左右する展開となりそうだ。アルトコインから流出した資金がビットコインとイーサリアムにさらに向かうのか、また米経済指標が金利見通しに対する市場の期待をどう変えるのかが、短期的な方向感を決める主な材料となる。