技術組織における業務ストレスは、個人の対処能力だけに委ねるのではなく、リーダーと組織が早い段階で把握し、調整していく必要がある――。そんな見方が示された。業務量の偏りや役割の曖昧さ、優先順位の頻繁な変更が積み重なると、生産性の低下にとどまらず、燃え尽きや離職につながるおそれがあるという。
ITメディアのTechRadarは22日(現地時間)、米フロリダ大学のセラ・ブッシュ教授(Sarah Bush)の寄稿を掲載した。ブッシュ教授は、英国保健安全庁(HSE)の統計を引用し、技術分野では業務関連ストレスによって直近3年間で約55万労働日が失われたと紹介した。
HSEは英国全体について、2023/24年に業務関連のストレス、うつ、不安により約1640万労働日が失われたと推計している。
ブッシュ教授は、ストレス管理でまず重要なのは、メンバーごとに異なる問題解決のスタイルを理解することだと強調した。マイケル・カートン(Michael Kirton)の「適応―革新理論」によれば、構造化された環境や既存の手順を好む人がいる一方、曖昧な環境でも新たな解決策を見いだすことに慣れた人もいるという。
優劣の問題ではないが、職場環境と個人の思考特性がかみ合わなければ、ストレスが増幅する可能性があるとした。
あわせて、信頼を築ける組織文化の重要性も指摘した。周囲と距離を置く、過度にいら立つ、締め切りを守れない、優先順位を整理できないといった変化は、単なるパフォーマンスの問題ではなく、ストレスが蓄積している兆候である可能性があるという。
そのため、定期評価を待たず、日常的な対話を通じて業務量や期待値をすり合わせるべきだと説明した。
解決策としては、従業員に一定の裁量を持たせ、回復のための時間を確保することも挙げた。リーダーは現実的な目標を設定し、何が本当に緊急なのかを見極められるよう支援すると同時に、自らも休息や休暇を取り、勤務時間外は業務から離れる姿勢を示す必要があるとした。
その上で、目指すべきなのはストレスを完全になくすことではなく、燃え尽きを防ぎながら長期的な成果を維持することだと結んだ。