ドナルド・トランプ米大統領は22日、国連総会で演説し、米政府文書で人工知能(AI)の表記を今後「超知能(super intelligence)」に改める意向を示した。「Artificialという言葉は、知能が偽物のように聞こえる」と述べ、AI開発を抑制すべきではないとの持論も改めて強調した。
Business Insiderなどによると、トランプ大統領は同日の演説で、米政府の文書では「artificial」ではなく「super」という表現を使っていく考えを表明した。あわせて、各国にも新たな呼称の採用を求めた。
トランプ大統領は「人工という言葉を使うと、知能が偽物に聞こえる」と発言し、「実際のAI技術は驚くべきものだ」と主張した。同時に、AIを巡る国際的な規制や開発抑制の動きには反対する姿勢を示した。
もっとも、今回の発言がAIという技術分野の正式名称そのものを国際的に変更する動きに直結するかは不透明だ。「人工知能」は、特定の政府が定める公式用語というより、産業界や学界、消費者の間で長年使われてきた広く定着した呼称だからだ。
また、「超知能」という表現自体も新語ではない。現在のAI分野では、一般的なAIを超え、あらゆる知的能力で人間を上回る水準のシステムを指す言葉として使われている。このため、AI全体を一律に「超知能」と呼べば、従来とは異なる意味に受け取られる可能性がある。
そもそも「人工知能」という呼称の歴史は1950年代にさかのぼる。1955年のダートマス大学の研究プロジェクト提案書で「artificial intelligence」という表現が登場し、翌年の研究会合をきっかけに、一つの学術分野として定着し始めた。
当時は、サイバネティクスやオートマトン研究など、機械の知能や自律性を扱う複数の呼称も併用されていた。その後、「AI」は学界にとどまらず産業界全体へ広がり、OpenAIのように社名にAIを含む例や、Appleの「Apple Intelligence」のように独自ブランドへ展開する例も出ている。
今回の発言については、AI技術そのものの定義を組み替えるというより、技術に対する評価や米国の開発推進姿勢を打ち出すメッセージに近いとの見方がある。実際、トランプ大統領は同じ演説で、AIを巡る国際的な統制の動きに反対し、米国が引き続き技術開発を主導すべきだとの立場を示した。
AIの危険性を巡る議論はなお続いている。トランプ大統領はこれまでも、AIが人類を脅かし得るとする警告に否定的で、技術進展を遅らせるアプローチには反対する考えを示してきた。一方で、一部の欧州諸国やAI業界からは、高度化するAIの安全性を巡って国際協力が必要だとの声も上がっている。
米政府文書の表記が変更される可能性はあるものの、それが産業界や学界を含む国際的な呼称変更にまで広がるかは見通せない。