ビットコインが8万6000ドルまで上昇し、FRBの利上げとクラリティ法案の上院採決不成立という2つの悪材料を短期間で消化したとの見方が出ている。マーケットメイカーのWintermuteは、足元の上昇について、一時的なショートスクイーズにとどまらず、反発地合いが維持されている可能性が高いと分析した。
Coinpostが23日に伝えたところによると、Wintermuteは週次レポートで、ビットコインとイーサリアムが数時間で従来レンジの上限を上抜け、米株市場の寄り付き前には約2億5000万ドル規模のショート清算が発生したと明らかにした。
背景としてまず挙げたのが、悪材料の織り込みの速さだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.75〜4.00%とした。2023年7月以来の利上げとなる。
Wintermuteは今回の決定について、「ややタカ派寄り」としながらも、成長資産にとってはむしろ最善の結果だったと評価した。10年債利回りが5%近辺で推移する中、よりハト派的な利上げであれば、FRBが夏場に持ち直した市場の信認を損なう可能性があったと説明している。
クラリティ法案を巡る失望も長引かなかった。上院は15日、討論終結動議の採決で賛成49、反対50となり、必要な60票に届かなかった。
ビットコインは当時、一時7万6000ドルを割り込んだが、金利決定後には1日で反発した。Wintermuteは、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の長官が翌日、既存権限の範囲内で暗号資産のルール整備を進める姿勢を示したことで、法案不成立の影響は1営業日程度にとどまったとみている。
資金フローも相場の下支え要因と位置付けた。米国のビットコイン現物ETFは15日と16日の2日間で計7億4600万ドルが流出した一方、17日には1億5950万ドル、18日には4億3300万ドルが流入した。5営業日ベースでは純流出額は約600万ドルにとどまった。
Wintermuteは、法案不成立後に出た流出の大半が48時間以内に埋め戻されたと指摘。このため、足元の上昇は無期限先物市場でのショートスクイーズだけでは説明しにくいとしている。一方、イーサリアム現物ETFは週間で純流出となり、機関投資家の需要はなおビットコインに集中していると分析した。
テクニカル面でも、ビットコインは重要水準を回復した。先週は7万5000〜8万1000ドルで推移し、20日までの週足終値は8万1159ドルだった。2025年11月初旬以来となる50週移動平均の回復となる。
Wintermuteは、50週移動平均が過去の弱気相場では一貫して上値抵抗として機能してきたと指摘。今回の回復は、6月安値の維持を確認するシグナルになり得るとみている。
デリバティブ市場の地合いにも変化がみられる。ビットコインとイーサリアムのオプション市場では、年末満期の低デルタのコールオプションやコールスプレッドの買いが増えている。市場では、ビットコインが年内に12万6000ドルの過去最高値を再び上回れるかどうかが引き続き焦点となっている。
Wintermuteは、過去最高値更新を論じるのは「まだ時期尚早」としつつも、ポジションの重心がレンジ相場を前提とした防御から、上昇を取りにいく方向へ移りつつある兆候だと解釈した。
今週も相場材料は多い。FRB関係者の発言機会は10回予定されており、23日には購買担当者景気指数(PMI)速報値が公表される。23〜25日には習近平・中国国家主席が訪米を予定し、25日には四半期オプションの満期を迎える。
Wintermuteは、最大のイベントだった米連邦公開市場委員会(FOMC)はいったん通過したとし、市場が新たな価格帯に定着していく過程では、利益確定売りをこなしながら推移する可能性があるとみている。
注目対象の広がりにも言及した。Wintermuteは、ビットコインに加え、大型アップグレード「Glamsterdam」を控えるイーサリアムのほか、SolanaやHyperliquidにも関心が向かう可能性があると予想。足元の市場センチメントについては、健全な範囲にあるとの見方を示した。