中国ファウンドリー大手のHua Hong。写真=Hua Hong公式サイト

S&P Global Ratingsは、AI投資の伸びが鈍化した場合でも、アジア太平洋地域の半導体ファウンドリーは他の技術ハードウェア業種に比べて相対的に耐性が高いとの見方を示した。短期的にAI投資サイクルが減速しても、事業構造や先端プロセスでの競争力が下支え要因になるとしている。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が18日付で報じたS&P Global Ratingsのリポートによると、アジア太平洋の技術ハードウェア業種のうち、AI投資減速に対する耐性が最も高いのはファウンドリーだと評価した。

分析対象は、ファウンドリー、メモリメーカー、冷却部品サプライヤー、サーバーODMの4業種。S&Pは、AmazonやMicrosoftなどの大手ハイパースケーラーが設備投資を抑制するケースと、送電網の制約やデータセンター用地の不足といったインフラ面のボトルネックでAIプロジェクトが遅れるケースの2つを想定した。

そのいずれのシナリオでも、ファウンドリーは相対的に影響が小さいとみている。NVIDIAなどの半導体設計企業が開発したチップを受託生産する事業モデルのため、AI関連投資が一時的に減速しても、直接的な打撃は限定的になりやすいという。

なかでも世界最大手のTSMCについては、先端プロセスで競合を大きく引き離している点を背景に、高い耐性を持つ企業と位置付けた。AI向け高性能半導体の需要が一部で調整しても、先端プロセス需要と技術優位性が事業の安定性を支えると説明した。

アジア太平洋のファウンドリー市場では、TSMCとSamsung Electronicsが上位を占め、中国勢もシェアを広げている。TrendForceによると、今年第2四半期の世界ファウンドリー売上高ランキングでは、中国のSMICが3位、Hua Hong Groupが6位だった。

一方、S&Pはメモリメーカーについて、AI投資減速の影響を受けやすいと分析した。Samsung ElectronicsやSK hynixなどは、AI関連需要が想定より早くピークアウトした場合、価格と収益性の両面で圧力が強まる可能性があるとしている。

S&Pのアナリスト、クリフォード・カーツ氏は、アジア太平洋の技術ハードウェア企業はAI支出計画の遅延に対応するだけの緩衝力を備えていると評価した。その一方で、長期的にAI需要そのものが想定と異なる方向に動けば、信用リスクが高まると警告した。

今回の分析は、AI投資ブームの持続性を巡って市場の警戒感が高まる中で示された。Anthropicの最高経営責任者(CEO)、ダリオ・アモデイ氏が最近、AI性能の高度化ペースを抑え、安全対策を強化すべきだとの考えを示したことも、こうした議論を後押ししている。

もっとも、現時点でAI投資資金が急減しているわけではない。Moody'sは今月初め、中国の主要テック企業の設備投資額が2026年に約1400億ドルに達し、2025年の650億ドルから2倍超に増えると予測した。2027年には約1650億ドルまで拡大すると見込んでいる。

米国でも大手テック企業のAI投資は高水準が続く見通しだ。Microsoft、Amazon Web Services、Alphabet、Meta Platforms、Oracleに加え、AIクラウド企業のCoreWeaveを含む各社の2026年の設備投資額合計は7850億ドルを超え、2027年には1兆ドル近くに達すると予想された。

S&Pも基本シナリオでは、今後2年間にわたりAIバリューチェーン全体の需要は強く維持されるとの従来見通しを据え置いた。短期的な投資調整の可能性はあるものの、AIサプライチェーン全体が急速な失速局面に入るとはみていない。

一方、中国のAIインフラ投資は一部の大都市に集中する可能性がある。S&Pは別のリポートで、上海、北京、深セン、杭州が研究人材、工学分野の基盤、資本余力を背景に、AIインフラ拡大の主要な受益地になると予測した。関連インフラやサービスを整備できる地域に恩恵が集中し、それ以外の地域への波及は限定的になる可能性があるとしている。

上海では、半導体やAIなど先端産業の集積がすでに進んでいる。公式統計によると、上海の集積回路、バイオ医薬、AIの3大先端産業の規模は2兆元を超え、このうち半導体産業は中国全体の約3分の1を占める。

今回の分析が示すのは、AI投資が減速した場合でも、アジア太平洋の技術ハードウェア各社が一様に打撃を受けるわけではないという点だ。ファウンドリーは先端プロセスや顧客基盤の分散を背景に耐性が高い一方、メモリ、サーバーODM、冷却部品は、AI投資のペースやデータセンター建設動向の影響をより受けやすいとみられる。

AI需要が中長期で維持されれば関連業種の成長は続く可能性が高い。ただ、投資サイクルの調整が想定以上に大きくなれば、業種ごとの業績や信用力の差はさらに鮮明になりそうだ。

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