中国が、超大型無人潜水艇を洋上で発進・回収するための専用母船を建造している可能性が浮上している。上海の滬東中華造船所で約200m級の未確認大型船体が確認され、オープンソース情報(OSINT)の分析をもとに、無人潜水艇向け母船ではないかとの見方が広がっている。
米ITメディアのTechRadarは9月19日(現地時間)、同造船所のドック内で、中国海軍の既存艦艇とは異なる形状の大型船体が確認されたと報じた。中国政府は、当該船舶の存在や用途を公式には認めていない。
公開写真を分析したOSINT関係者の間では、この船体が大型無人潜水艇の洋上運用を想定して設計された母船である可能性が指摘されている。
日本のオープンソース分析家カロタスは13日、関連する船体写真を公開した。これを受け、海軍専門アナリストのH・I・サットンも写真を分析し、用途を巡る推測が広がった。
カロタスによると、船体は全長約340mのドック内にあり、船体そのものの規模は全長約200m、幅約30mとみられる。340mという数値は船体の長さではなく、建造が進むドックの規模を指すという。さらに同じドックでは、用途不明の別構造物も組み立てられているとみられる。
防衛関連メディアDefense Security Asiaは15日、衛星画像をもとに、この船体の全長を約205m、幅を約27mと推定した。約672フィートに相当し、一般的な支援艦を上回る規模だとしている。一方で、第2次世界大戦期に米海軍が運用したエセックス級空母よりは小さく、インディペンデンス級軽空母よりは大きいとの見方を示した。
注目されているのは、この船舶が搭載するとみられる超大型の無人潜水艇だ。Defense Security Asiaはこれを「超大型無人水中機」と表現しており、全長35m級と45m級の機体が取り沙汰されている。規模は小型の有人潜水艦に近いという。
中国の造船企業が過去に公表した類似コンセプトを基準にすれば、こうした大型無人潜水艇の航続距離は約1万海里に達する可能性もある。ただし、今回の船舶に搭載される機体の性能が確認されたわけではない。
現時点では、中国の大型無人潜水艇は、特別に製作した浮体式ドックなどを使って試験されてきたとされる。この方式は港湾での運用や試験には適している半面、遠海で長期間にわたる作戦行動には制約があるとの分析がある。
とりわけ、無人潜水艇を別の船舶でえい航して運用海域まで移動させる方式は、気象条件や港湾インフラの影響を受けやすい。これに対し、大型母船に無人潜水艇を搭載できれば、洋上で直接発進させ、任務後に回収する運用が可能になる。
整備や補給の面でも差が出る可能性がある。船内に格納スペースや整備設備を備えれば、単なる輸送手段にとどまらず、長期運用を支える移動式拠点として機能し得るためだ。
このため、今回の船舶が無人潜水艇の母船だと確認されれば、中国の海上無人システム運用は新たな段階に入るとの見方もある。港湾近くでの試験にとどまらず、遠海で大型無人潜水艇を投入・回収できれば、作戦半径や海上での滞在時間を広げられるためだ。
もっとも、現時点の情報だけで、この船舶の正確な任務や搭載システムを断定するのは難しい。中国当局が存在と用途を公式に確認しておらず、現状の根拠は公開写真や衛星画像に基づく外部分析に限られているためだ。
とくに、船内の格納施設の構成や、実際に搭載可能な無人潜水艇の種類、推進システム、通信方式などは未確認のままだ。今後の建造過程で追加の写真や衛星画像が明らかになるかが焦点となる。
それでも、上海の造船所で確認された約200m級の大型船体は、中国が大型無人潜水艇の試験段階を超え、洋上運用向けの専用プラットフォーム整備に踏み出している可能性を示すものとして注目を集めている。