Grayscaleは、Zcash現物型ETF「ZCSH」を3対1で株式分割する。既存株主には1口当たり2口が追加交付され、分割を反映した取引は9月30日に始まる。DecryptやThe Blockが9月19日付で報じた。
今回の分割は、ファンド全体の価値を変えずに1口当たり価格を引き下げ、個人投資家が売買しやすくするのが狙いだ。対象は9月28日の取引終了時点の株主で、追加分は29日の取引終了後に交付する。ティッカーシンボル「ZCSH」と証券識別番号は維持する。
背景には、ZcashとETF価格の急騰がある。ZCSHには8月25日の上場以降、2億3300万ドル超が流入した。9月8日の1日当たり流入額は1億1200万ドルに達し、先週も1日当たり4660万ドルの資金が流入した。9月17日時点の純資産は約8億9000万ドルという。
同ETFは、Zcashのトークン「ZEC」を直接保有する世界初の現物型ETF。既存のGrayscale Zcash Trustを転換する形で組成され、NYSE Arcaへの上場時点で約3億1300万ドル相当のZECを保有していたとしている。
ZECの価格も大きく上昇した。9月19日の取引時間中には1521ドルまで上昇し、直近1年の上昇率は2800%を超えた。
Zcashは、取引内容の公開範囲を利用者が選べるプライバシー重視の暗号資産だ。暗号技術「zk-SNARKs」を活用し、送信者、受信者、送金額を明かさずに取引の有効性を証明できる。供給上限はビットコインと同じ2100万枚に設定されている。
こうした特徴は、規制市場の枠内でプライバシーコインに投資したい需要にも合致する。証券口座を通じて売買できるETFとして提供されることで、暗号資産ウォレットを直接保有しない投資家でもZECにアクセスしやすくなった。一方で、Monero(XMR)のように法執行機関の圧力を受け、主要取引所で上場廃止となった事例と比べると、Zcashは規制面で相対的に受け入れられやすい選択肢として位置付けられている。
Grayscaleが資産価格の急騰を受けて株式分割に踏み切るのは初めてではない。2020年12月にはEthereum Trustに9対1の分割を実施した。当時もEthereum価格の上昇で1口当たり価格が高騰しており、小口投資家の投資しやすさを高めるため同様の手法を採った。今回のZCSH分割も、その流れに沿った対応といえそうだ。