米国で暗号資産立法の中核とみられてきた「クラリティ法案」が今週、終結動議を通過できなかった。これを受け、Coinbaseは暗号資産政策の主導権が議会から証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)などの規制当局に移る可能性があるとの見方を示した。
ビットコイン・マガジンが20日(現地時間)に報じたところによると、Coinbaseの最高政策責任者パリヤール・シールザド氏は、クラリティ法案の審議が止まった背景として米国の選挙日程を挙げた。これに加え、大手銀行による大規模な反対キャンペーンも重なり、法案審議に強い逆風が生じたと説明した。
同氏は、議会が選挙サイクルの後半に入ったことで、立法を押し進める力が弱まったと分析した。さらに、大手銀行が約2億ドル(約300億円)規模のキャンペーンを展開したことが、法案成立への大きな足かせになったとの認識を示した。
焦点は今後、法案失速後に米国の暗号資産政策がどの経路で進むかに移る。シールザド氏は、議会はすでに一度、法整備を進める局面を迎えたとしたうえで、今後の政策変更はSECやCFTC、銀行規制当局が主導する可能性があると述べた。
特に、ポール・アトキンス証券取引委員会(SEC)委員長の下では、規制当局の役割が一段と重みを増すとの見通しを示した。包括的な立法が遅れれば、暗号資産業界は規制当局の解釈や執行方針の影響をこれまで以上に直接受けるためだ。
Coinbaseは今回の立法遅延について、暗号資産政策全体の推進力低下とは捉えていない。シールザド氏は今後の対応として、立法、規制、国際協調を柱とする「3本柱の政策戦略」を提示した。議会での手続きが滞っても、規制当局や国際政策の領域ではなお前進の余地があるとの判断だ。
こうした見方は、米国の暗号資産制度整備が議会立法だけで決まるわけではないことを示している。仮に議会が包括的な市場構造法案を成立させられなくても、SECとCFTCの規制方針、銀行規制当局の判断、さらには各国との国際協調が業界環境を左右し得るというわけだ。
このため業界の関心は、議会で法案を再び前に進められるかどうかから、規制当局の次の一手へ移る可能性がある。SECとCFTCが暗号資産や関連企業にどのような規制基準を適用するのか、銀行とデジタル資産業界の関係がどう変化するのかが主要な変数になる。
一方、ビットコイン・マガジンは、戦略的ビットコイン準備金法案の具体的な審議日程や別途の採決計画には触れていないとした。Coinbaseのメッセージは、クラリティ法案の遅れの後も、規制と国際政策の両面で対応を続ける点に重きがある。
当面の米国の暗号資産政策は、議会の立法日程に加え、SECやCFTC、銀行規制当局が打ち出す後続措置に左右される見通しだ。