ビットコインのイメージ写真=Reve AI

ビットコインが、機関投資家の資産配分において「通貨価値の低下に備える資産」として存在感を強めている――。Bitcoin Magazineによると、グローバル資産運用会社T. Rowe Priceでデジタル資産事業に携わったブル・マセルラリ氏は、米国債市場の構造変化を背景に、ビットコインの役割がより明確になってきたとの見方を示した。

同氏は20日(現地時間)、これまでの新興国国債や不良債権への投資経験を踏まえ、米国の財政動向と債券市場の変化をビットコイン投資の論理と結び付けて説明した。ビットコインはもはや単なる代替資産ではなく、通貨価値の低下を前提にした資産配分を議論するうえで重要な対象になっているという。

あわせて、足元で再び市場の話題に上る「ボンド・ビジランテ」の復活の可能性にも言及した。米国債市場では財政不安や流動性を巡る懸念が再浮上しており、国債需要を支える買い手の構成にも変化が生じていると指摘した。

特に注目したのは、米国債を支える主要な買い手が海外から国内へと移りつつある点だ。ただ、米国の国債市場は買い手基盤の構造が他国とは異なり、日本やイタリアの事例をそのまま当てはめるのは難しいとの見方も示した。

マセルラリ氏は、T. Rowe Priceがアクティブ運用のマルチトークンETFを組成した背景についても説明した。資産のトークン化が広がれば、資産管理の自動化も加速し得るとみている。

一方で、24時間365日の取引は流動性を高める半面、市場の分断を招く可能性があるとも指摘した。取引時間の異なる市場が連動することで、価格形成の仕組みや需給ショックの現れ方が一段と複雑になる可能性があるという。

ステーブルコインが米短期国債への需要を実質的に押し上げるかどうかについては、慎重な姿勢を崩さなかった。ジーニアス法案を背景にステーブルコイン需要が増えても、それが短期国債市場に意味のある変化をもたらすかは見極めが必要だと述べた。

また、ステーブルコインの制度化が進み、関連する国債保有が増えたとしても、それだけで国債需給全体を左右する規模に達するかどうかは別問題だとした。

ビットコインに対する機関投資家の需要も、こうしたマクロ環境の変化と連動している。同氏は、財政悪化や流動性拡大、通貨価値の低下に備える投資戦略が、実際に機関投資家の資産配分を動かし始めていると説明した。

そのうえで、投資主体ごとの認識の違いにも触れた。若年層と機関投資家では、ビットコインやデジタル資産の受け止め方が異なり、その差が今後の資金流入の形に影響を与える可能性があるという。

今回の発言は、ビットコイン市場を単なる価格動向だけでなく、資産配分戦略の変化という観点から見る必要性を示したものといえる。機関投資家マネーの流れを読み解くうえでは、米国債需要の構造変化、ステーブルコインによる国債買い入れ効果、トークン化の拡大、24時間取引が流動性に及ぼす影響をあわせて見る必要がある。

もっとも、ビットコインがマクロ経済不安に対応する資産として定着するか、ステーブルコインが国債需要の下支え役となるかについては、なお検証が必要だとしている。

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