Ethereum共同創設者のビタリック・ブテリン氏は9月20日、Xへの投稿を通じて、Ethereumにおけるプライバシー強化の方針を改めて打ち出した。関連分野の開発を一段と進める考えを示しており、Ethereumの技術ロードマップでもプライバシーの優先度が高まっている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、ブテリン氏は最近のX投稿で「終わるのは諦めたときだけだ。私はプライバシーを諦めない。むしろ一段と注力している」と述べた。
Ethereumはこれまで、アドレスや残高、取引履歴を誰でも確認できる高い透明性を特徴としてきた。一方で足元では、その構造を維持しながらプライバシー保護を強化する方向へと開発の軸足が移っている。対象は、ウォレット、取引の取り込み方式、プライベートなチェーン照会、シールド送金などに広がっている。
ブテリン氏は今年3月、Ethereumを、政府の圧力を受けずに取引やコミュニケーションを行えるオープンソース基盤の一部として捉えるべきだと主張した。その中核に据えたのが、プライバシーと個人の自律性だ。
その後、同氏はEthereumが維持すべき4つの中核属性として、検閲耐性、オープンソース、プライバシー、セキュリティを挙げ、これを「CROPS」と呼んだ。
5月20日には、「ネイティブプライバシー」に向けた推進ルートも提示した。内容には、アカウント抽象化、鍵ベースのノンス、アクセス層に関する取り組みなどが含まれる。あわせてEthereum Foundationに対し、検閲耐性、プライバシー、セキュリティの維持に資源を重点配分すべきだと求めた。
開発方針の具体化も進んでいる。議論中のプライバシーロードマップは、非公開の読み取り、非公開の書き込み、非公開証明に焦点を当てる。
このうち非公開の読み取りは、インフラ提供者が利用者の閲覧内容を正確に把握できないようにする仕組みを指す。非公開の書き込みは、利用者が実際に取引を送信する際に生じる情報露出の問題を扱う。
このほか、FOCILも検討対象に挙がっている。影響力の大きいブロックビルダーが、プライバシープロトコル関連の取引を恣意的に排除することを難しくする狙いがある。
Ethereumの研究チームは、ETHとERC-20送金向けに、プロトコルレベルのシールドプールの導入もあわせて検討している。
ブテリン氏は8月、現在の開発用ロードマップと2023年のロードマップを比較し、「強いプライバシーへの最優先レベルの関心」が最大の変化の一つだと説明した。長期方針にとどまらず、実際の開発順序でもプライバシーの比重が高まっているという認識を示した形だ。
同氏のプライバシー重視の姿勢は一貫している。2025年8月のインタビューでは、プライバシーをサイファーパンク運動の根本的な要素と位置付け、「プライバシーは自由だ」と述べていた。
こうした流れを踏まえると、Ethereumにおけるプライバシー強化は、単なる機能追加ではなく、ネットワークの原則と設計思想そのものを見直す取り組みとして位置付けられつつある。