Circleは、独自ブロックチェーン「Arc」向けのAI開発ツール「Arc Studio」を公開した。自然言語の指示だけで、フロントエンドUI、バックエンド、スマートコントラクトを含むオンチェーンアプリを数分で生成できる。Arcを含む9つのブロックチェーンでの検証にも対応し、Arcメインネット公開直後の開発者獲得を後押しする狙いがある。
ブロックチェーンメディアのCoinpostが19日(現地時間)に報じた。Arc Studioは、オンチェーンアプリやスマートコントラクト、AIエージェントの開発を、プロンプト入力ベースで進められるよう設計したという。
ユーザーが自然言語で要件を入力すると、フロントエンドUIとバックエンドロジック、スマートコントラクトを含むフルスタック構成のアプリを自動生成する。Circleは、これにより開発スピードの向上が見込め、経験の浅い開発者でも着手しやすくなるとしている。
同社は、従来のオンチェーン開発で参入障壁となっていた初期設定の負担を下げる点を重視した。Webブラウザから直接利用できるほか、Claude Code、Codex、Cursorなどの開発ツールともサブエージェントとして連携し、既存のワークフローを維持したまま活用できるという。
Circleによれば、これまでオンチェーン開発では、ウォレット設定やガス管理といった事前作業が必要で、熟練した開発者であっても開発期間の長期化を招く要因になっていた。
今回の投入は、Arcメインネット公開の直後に行われた。Arcの基盤となるレイヤー1ネットワークでは、ガス手数料の支払いにステーブルコイン「USDC」を採用。バリデーターには、BlackRock、米国預託決済機関のDTCC、Visaなど大手金融機関・企業11社が参加している。
Arc Studioには、Circleの開発者向けスタックも組み込んだ。CCTP、コントラクト、ゲートウェイ、ウォレットのほか、ステーブルコイン関連インフラを理解するよう設計しており、汎用的な抽象化ではなく、一貫した構成要素をベースにアプリを構築できるとしている。
これにより、生成したサービスにさまざまなプロトコルや資産を実運用を視野に組み込めるという。
対応チェーンもArcにとどまらない。Arbitrum、Avalanche、Base、Ethereum、Monad、OP Mainnet、Polygon、Unichainを含む計9つのブロックチェーンで成果物をテストできる。Arcを中核に据えながらも、マルチチェーン環境を見据えた設計といえる。
想定する活用分野としては、金融、コンシューマー向けサービス、SaaS、AIプラットフォームを挙げた。金融分野では、USDCを活用した決済、スワップ、ウォレット、ブリッジ、貸し付け、ステーキング、プログラマブル決済などのアプリ開発を想定する。
コンシューマー向けでは、デジタル商品の販売やクリエイターの収益化に向けた、アプリ内でのステーブルコイン決済体験を試せるとしている。
SaaS分野では、利用量に応じてUSDC決済を実行する従量課金フローの構築が可能だという。AIプラットフォーム向けには、エージェント間決済や、コンピューティング資源の使用量に応じた決済フローの実装を見込む。
CircleはArc Studioを単なる開発支援ツールではなく、USDC活用サービスを広げるための基盤として位置付けている。Arcメインネット公開直後に開発ツールもあわせて投入することで、開発者の流入と実サービスの実証を同時に促す構えだ。
Arcがガス手数料にUSDCを用いる設計を採っていることから、今後はArc Studioが決済・金融系アプリの立ち上げをどこまで加速できるかが注目点となりそうだ。