写真=Figure AIのYouTubeより

Figure AIの創業者兼CEO、ブレット・アドコック氏は、ヒューマノイド開発について「私たちは新しい種を作っている」との認識を示した。量産が視野に入る一方で、実環境で安定して稼働できるかどうかはなお見極めが必要だ。

米ITメディアのTechRadarが9月20日(現地時間)に報じた。アドコック氏は、Salesforceの年次イベント「Dreamforce」のステージで、目指しているのは単なる新型機械の開発ではなく、新たな知能の秩序を生み出すことだと語った。

この発言は、Salesforceのマーク・ベニオフCEOが「私たちはロボットではなく、新しい種を作っているのではないか」と問いかけた流れで飛び出したものだ。これに対しアドコック氏も同意し、「新しい種を作っている」と繰り返した。ヒューマノイドを産業用自動化機器にとどめず、新たな知性を備えた存在へと発展させる構想を示した形だ。

もっとも、現時点でヒューマノイドが実環境で人を完全に代替できる段階にあるとは言いにくい。高度な機体であっても、家事支援や運動関連の動作で失敗する例があるという。

研究者の間では、ロボットに搭載するAIの性能や、物理世界を理解する能力は今後大きく向上するとの見方が出ている。

Figure AIはこれまで、試作段階のヒューマノイドを使ったプロモーション動画で注目を集めてきた。寝室の片付けや食器洗い機への食器の出し入れなど、家庭内作業をこなす様子を前面に打ち出していた。ただ、こうしたデモは統制された環境で行われるという制約がある。

一方、同社は実運用を想定したデモも公開している。Figure 03は2026年5月のライブ配信で、10万個を超える小包を仕分けしたとしている。

同社によると、この作業には自社AIシステム「Helix-02」を用い、人による遠隔操作はなかった。当初は8時間の配信を予定していたが、最終的には80時間超に及び、10万個超の小包を処理したという。

ただ、こうした実演だけで、ヒューマノイドが日常の実環境でも安定して動作できると判断するのは早計だ。現場では予測しにくい事象が絶えず発生するためだ。

ヒューマノイドの商用化が本格化しても、多様な環境への適応力と安定性の検証は引き続き大きな課題となる。

こうした中、複数の企業が2026〜2027年ごろの量産開始を計画している。投入先は当面、工場や物流施設などの産業現場が中心になる見通しだが、各社は中長期的に家庭向け市場も視野に入れている。

焦点は、量産計画が実際の出荷や現場配備に結び付くかどうか、そして統制されたデモを超え、予測不能な日常環境でも安定稼働できるかどうかにある。Figure AIが掲げる「新しい種」というビジョンの実現には、AIの知能向上だけでなく、物理環境を理解して対応する能力の進化も欠かせない。

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