Ethereumの次期大型アップグレード「グラムステルダム」に向けた最終段階の検証が進んでいる。Protocol Watch創業者のクリスティン・キム氏が最新の開発状況を共有し、開発者向けテストネットの進展に加え、ガス上限の拡大や履歴保持期間の見直しが主要論点として浮上していることが明らかになった。次のアップグレード「ヘゴタ」についても、Ethereum改善提案(EIP)の優先順位付けが本格的に始まっている。
開発者は8月13日、最後の開発者向けテストネットとなる「Devnet-8」を立ち上げた。当初はDevnetの後に別途パブリックテストネットで検証する計画だったが、Devnet-8自体を一般参加型として運用する方針に切り替えた。スケジュール通りに進めば、9月からパブリックテストネットのアップグレードが始まる見通しだ。
キム氏は、ブロック構築プロセスに大きな変更が入るとして、「サードパーティーのブロックビルダーは、新しいプロトコル仕様に合わせて今の段階からインフラの検証を進める必要がある」と説明した。
主要論点の一つが、ブロック当たりのガス上限だ。Ethereum開発者は5月、ブロックサイズを3倍超に拡大する目標を打ち出していた。今週は関連するガス再計算案の最終数値が固まり、グラムステルダム後には既存ノードへの過度な負荷を避けつつ、ネットワーク処理量を6000万から2億へ引き上げられることが確認されたという。Ethereum Foundationのバナバス副社長は、アップグレード直後からガス上限を自動的に段階引き上げするEIP-8261の採用を提案した。
もう一つの論点は、履歴保持期間の基準見直しだ。現在、多くのクライアントは2022年9月のマージ以降のブロックデータを保存している。ただ、ガス上限が引き上げられれば、履歴データの増加ペースも3倍超に加速する。このため開発者の間では、ローリングヒストリーの保持期間を5〜6カ月まで短縮する案が議論された。
グラムステルダムに続くアップグレード「ヘゴタ」に向けたEIPの受付はすでに締め切られた。新規提案17件を含む約50件を対象に、優先順位を決める作業が始まっている。現時点で採用が確定しているのは1件のみで、特定の取引を次のブロックに必ず含めることを求めるEIP-7805だ。
各クライアントチームは、9月10日までに優先順位リストをまとめる必要がある。
このうち、2件のEIPを巡ってはコミュニティー内の対立が目立っている。1件目は、Ethereumの発行報酬を動的にバーンするEIP-8363。2件目は、ユーザーアカウントがスマートコントラクトのロジックを通じて取引検証と手数料支払いを行えるようにするEIP-8141だ。
EIP-8141については、プロトコル研究者と多くのクライアントチームが支持する一方、レイヤー2プロジェクトのBaseとOffchain Labsは反対している。開発者は別途会合を開き、意見集約を図る方針だ。
Gethクライアント開発者は、「最終的にはレイヤー1にとって最善の方向へ進むべきだ。複数のレイヤー2から支持を得られる形が望ましいが、最終的に誰かが不満を抱くのは避けられない。論争を呼ぶEIPとは、もともとそういうものだ」と述べた。
一方、EIP-8141の代替案としてEIP-8130を提案したBaseチームのクリスは異論を唱えた。「8130は同じ長期目標を達成でき、しかも性能面で優れ、後戻りしにくい妥協も避けられると考えている」と反論した。
キム氏は「Ethereumは純粋な技術プロジェクトではない。もしそうなら、プロトコルに最も近い開発者の見解がそのまま正解になっていたはずだ」と指摘。その上で「Ethereumのルールは最終的に社会的合意によって決まる。特定グループの視点だけで何が最善かを一方的に決めることはできない。決定権はコミュニティー全体にある」と強調した。
さらにキム氏は、特定の提案を巡って激しい論争が起きていること自体が、「技術的な是非とは別に、その提案をアップグレードから外す判断材料になり得る」と付け加えた。