韓国では5G投資が高水準で推移する一方、SAへの移行は主要国に後れを取っている。写真=Shutterstock

韓国では5Gへの投資が主要国の中でも高水準にある一方、5G SA(単独モード)への移行は相対的に遅れていることが分かった。政府と移動通信3社は12月のSA全国展開を目指しており、その進捗が5G高度化の成否を占う節目となりそうだ。

欧州委員会がまとめた「デジタルの10年 2026-5Gオブザーバトリー報告書」によると、2025年の韓国における移動通信ネットワーク投資全体に占める5G投資の比率は67%だった。比較対象となった主要国では中国の72%に次ぐ2位で、米国は62%、日本は58%、EU27カ国平均は50.6%だった。

一方、ネットワークのSA化の進み具合では韓国は上位ではなかった。移動通信基地局全体に占める5G SA基地局の比率は26.2%で、米国の36.2%、中国の34.8%を下回った。

日本は26.3%で韓国を0.1ポイント上回り、EU平均は20.9%だった。韓国は5G投資そのものは積極的に進めてきたものの、5Gの本来機能を生かすSAへの移行では出遅れている構図が浮かぶ。

◆5G投資は主要国2位、SA移行は出遅れ

韓国の5Gサービスは現在もNSA(非単独モード)が中心だ。NSAは、端末と基地局の無線区間では5Gを使いながら、通信網の中枢となるコアネットワークでは既存のLTE網を併用する方式を指す。

5G商用化の初期段階では、全国規模でネットワークを迅速に整備するうえで効率的な手法だった。LTEコア網を活用できるため、通信事業者は当初からネットワーク全体を新設する必要がなかったためだ。

これに対しSAは、無線網だけでなくコア網も5Gで構成する。LTEへの依存を抑えながら、1つの物理ネットワークを用途別に複数の仮想ネットワークへ切り分けるネットワークスライシングなど、5Gに特化した機能を本格的に活用できる。

韓国ではKTが2021年7月に初めて5G SAの商用サービスを開始した。ただ、国内の移動通信網全体が急速にSA中心へ切り替わったわけではない。

科学技術情報通信部は昨年12月、移動通信周波数の再割り当て政策を確定する際、韓国の5Gが依然としてNSA中心にとどまっている点を指摘し、SA移行を義務付けた。同部は当時、国内の利用者が5Gの多様な機能を十分に享受できていないと説明していた。

2026年に入り、移行の動きは加速している。科学技術情報通信部とSK Telecom、KT、LG U+は8月、「AI時代の通信インフラ投資促進に向けた官民協議体」を発足させ、年内のSA全国サービス開始を目標に掲げた。

KTは先行導入しているSA商用サービスの提供範囲を拡大している。SK TelecomとLG U+は全国規模で試験運用を進めている。

◆SA移行の焦点は速度より低遅延・スライシング

もっとも、SAが全国に広がっても、スマートフォンのダウンロード速度が直ちに大きく改善するとは限らない。体感速度は利用周波数や基地局密度、トラフィック量、端末性能など、無線ネットワーク側の条件にも左右されるためだ。

このため、注目されているのがネットワークスライシングだ。1つの物理通信網を用途別の仮想ネットワークに分け、必要なサービスごとに通信品質を最適化する技術を指す。

例えば、数万人規模のコンサート会場や祭りでは、一般利用者向けと運営要員向けの通信を分け、特定用途に必要な品質を確保するといった活用が想定される。

科学技術情報通信部は、SA全国展開に合わせて品質評価の方式も見直す。従来のダウンロード速度中心の評価に加え、SA接続・維持の可否、遅延時間、ネットワークスライシングの品質などを新たな評価項目として盛り込み、12月に試験測定を実施する予定だ。

メーカーやOS事業者にはSA対応端末の拡充を求めるほか、ネットワーク中立性ガイドラインの改定も進める。

韓国は2019年に世界初の5G商用化を掲げたが、その後は速度や品質、投資不足を巡る論争が続いてきた。12月のSA全国サービスが計画通り実現し、スライシングや超低遅延が実際のサービス利用に結び付くかどうかが、今後の5G高度化を占う試金石となる。

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