完全自動運転「FSD」向けチップ基板。写真=Tesla

Teslaは、完全自動運転ソフトウェア「FSD v15」を自動運転技術の大幅な進化段階と位置付ける一方、ヒューマノイドロボット「Optimus」の外部販売を2027年下期に始める可能性を示した。自動運転とロボットの商用化に向けた工程が改めて示された格好だ。

米電気自動車メディアElectrekが20日(現地時間)に報じたところによると、Teslaは米フリーモント工場でJPモルガンと開いた最近の会合で、こうした事業ロードマップを説明した。

FSD v15についてTeslaは、7つの中核技術を軸にした「ステップチェンジ」だと説明した。このうち約40%は、すでにオースティンで運用するロボタクシー車両群に反映されており、初期の反応も良好だという。

ハードウェア面では、現行車に搭載するHW4(社内呼称はAI4コンピュータ)で、FSD v15と無人走行に対応できるとした。あわせて、演算性能を約10%引き上げ、メモリ容量を約2倍にした「AI4.5」も導入している。次世代の「AI5」チップは、投入時期を2027年半ばへ後ろ倒しした。

Cybercabの拡大計画についても言及した。TeslaはJPモルガンに対し、Cybercabサービスを近く拡大できるとの見方を示したという。一方で、Model Yの追加的なロボタクシー投入は意図的に遅らせていると説明。「unboxed」製造方式を活用し、長期的には1マイル当たり約0.30ドルの運用コストを目指すとしている。

車両群の本格拡大は、2026年末から2027年初めにかけて進める計画だ。ただ、足元の運用規模は目標水準となお隔たりがある。オースティンの無人サービスは、依然として少数の車両を中心に運用している。

Teslaが最近公表した無人走行の累計距離は38万マイルだった。Waymoの2億マイル超と比べると、運用規模の差は大きい。

Optimus事業では、より前倒しの計画も示した。TeslaはOptimus第3世代の設計を終え、サプライチェーンのめどもほぼ立ったと説明。フリーモントの既存のModel S・X生産施設にOptimusの生産ラインを整備しており、早ければ2027年下期に外部販売を始める可能性があるとした。

長期的な生産目標にも触れた。フリーモントでは年産100万台、テキサスでは1000万台規模のOptimus生産能力の確保を目指しているという。

もっとも、Optimusについても日程の実現性にはなお疑問が残る。イーロン・マスク氏はこれまで、Optimusの公開や量産計画を繰り返し示してきたが、最近ではTesla社内で実用的な作業を担うOptimusがまだ存在しないことを認めたとされる。昨年に言及した5000台保有計画とは異なり、現在は試験用の少数ロボットのみが運用されているという。

今回示された内容は、Teslaが将来の事業計画を投資家に直接説明した色彩が濃い。JPモルガンではラジャト・グプタ氏がTesla株の投資判断を中立に引き上げ、目標株価を約445ドルとした。

このため、今回のロードマップは直ちに商用化が確定したことを意味するというより、Teslaが今後投資家に示す目標として受け止める必要がある。

今後の焦点は、計画そのものより実績に移る。TeslaはFSD v15の大幅な性能改善と、HW4ベースでの無人走行の可能性を強調したが、顧客車両で無人走行を安定的に実現できるかが鍵を握る。Cybercabについても、車両生産の拡大に加え、実際のサービス運用規模をどこまで広げられるかが重要になる。

Optimusも同様だ。2027年下期の外部販売という目標以前に、Teslaの生産現場で人手が担ってきた作業をどこまで安定して代替できるかの検証が求められる。FSDとOptimusの双方で、Teslaが示す次の段階が実際の商用化につながるかが最大の注目点となる。

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