韓国の科学技術情報通信部と情報通信産業振興院(NIPA)は8月18日、政府主導で進める独自AI基盤モデルプロジェクトの2次評価結果を発表し、SK Telecom、LG AI Research、Upstageの3陣営を次段階の対象に選定した。追加公募で加わったMotif Technologiesは選ばれなかった。
2次評価には、Upstage、SK Telecom、LG AI Research、Motif Technologiesの4チームが参加した。
評価は、ベンチマーク評価40点、専門家評価35点、ユーザー評価25点を合算して実施した。指標には、グローバルAIモデルの評価指標としてArtificial Analysisの総合評価指数(AAII)とNIAベンチマークを用いた。評価には、AI専門家による審査に加え、一般利用者が実際にモデルを使って評価する手法も反映した。
同部によると、4チームのモデルはいずれも、米非営利AI研究機関Epoch AIの「注目すべきAIモデル」に掲載された。AAIIでも4モデルすべてが31点以上を記録したという。国別の最高水準の言語モデルを基準にすると、韓国は米国、中国に次ぐ3番手の水準にあると評価した。
SK Telecomは、6880億パラメーターの独自AIモデル「A.X K2」で次段階に進んだ。韓国語と数学のベンチマークで、グローバルのオープンソースモデルの中でも最高水準の性能を示したとしている。
2026年の国際数学オリンピック問題を使った評価では金メダル相当のスコアを記録し、米国の高校数学競技AIMEの問題を基にした「Math Arena AIME 2026」リーダーボードでも97.1%の最高タイを達成した。
産業現場への適用実績も評価材料となった。専門家委員会は、A.X K2について、数理推論と韓国語領域で比較対象群の最上位水準を確保し、大規模な商用サービスに搭載される中で実用性と利便性の優位性を示したと評価した。
Upstageは、2500億パラメーターの「Solar Open 2」で次段階の対象に選ばれた。エージェント用途に最適化したモデルで、最大100万トークンのコンテキストウィンドウに対応する。
1回のプロンプトで数百ページ規模の文書を処理できるほか、NVIDIAのH200を2基で駆動できる点から、コスト効率の高さも特徴として挙げられた。
また、実サービスとの連携や国産AI半導体の活用も高く評価された。専門家委員会は、Solar Open 2をポータル「Daum」と「Timely」プラットフォームに連携する計画に加え、FuriosaAIのNPU活用によって海外製ハードウェアへの依存を抑えた点を前向きに評価した。
実際のDaumのサービス環境で概念実証(PoC)を進めたことについても、国産AIソフトウェアとハードウェアのエコシステムを結び付けた事例と位置付けた。
LG AI Researchは、7500億パラメーターの「K-EXAONE 2.0」で2次評価を通過した。国内最大規模のモデルで、10言語に対応し、Apache 2.0の商用ライセンスを適用した。
ベンチマークの総合性能は、前作のK-EXAONE 1.0に比べて10%向上した。信頼性評価でも高い成績を示し、AAIIベンチマークのうち、モデルが知らない質問に誤答を生成する「幻覚」をどの程度抑制できるかを測る指標では、世界9位を記録した。
同部は、次段階に進む3チーム向けに高性能GPUの支援を拡大する方針だ。2026年上期のB200 768枚規模から、下期には1000枚規模へ増やし、高性能な独自AIモデルの開発を後押しする。
同部は「主要先導国では、AIモデルを国家安全保障上の戦略資産と位置付ける動きが鮮明になっている」とした上で、「最上位級の独自AIモデル開発の必要性を強く認識している。既存の方式を超える新たな支援体系について関係省庁と協議し、具体策を公表する計画だ」と明らかにした。