写真=Reve AI

人工知能(AI)を軸にセキュリティ市場の再編が進んでいる。防御力の強化に加え、AI普及で高まる新たなリスクへの備えを狙い、関連企業によるM&A(合併・買収)が活発化している。

SecurityWeekによると、7月のセキュリティ関連M&Aは世界で21件に達し、8月に入ってもこの流れは続いている。各社は機能補完や事業領域の拡張を急いでいる。

Fortinetは、AIセキュリティ企業Virtue AIの買収を通じて、AIモデルや対話型アプリケーション、自律エージェントを含む領域での防御能力を強化する。Virtue AIは、これらを対象にしたエンタープライズ向けのセキュリティ・ガバナンスプラットフォームを手がけ、自動テストやリアルタイム保護、コンプライアンス管理を支援している。

脅威露出管理を強みとするBrinqaは、FlexTrackを買収した。これにより、脆弱性の発見から対応状況の検証まで、一連のプロセスを自社プラットフォーム上でカバーできる体制を整えた。

Criblは、Radiant Securityが保有するAI活用型のセキュリティ運用関連技術資産を取得した。Criblにとって2026年のセキュリティ分野で2件目の買収となる。7月には、イスラエルの検知エンジニアリング系スタートアップCardinalOpsも買収している。

一方で、AIを悪用した攻撃への警戒も強まっている。最近相次いでいるAI関連のハッキングは、単発の例外的事案ではなく、AIの急速な進化に伴って生じる構造的な変化だとみる向きもある。

CrowdStrikeが公表した「2026 脅威ハンティング報告書」によると、AIはすでに現代のサイバー攻撃全般に組み込まれた段階に入った。報告書は、AIが攻撃者の攻撃基盤である一方、攻撃対象にもなっていると分析している。

また、企業のサイバーセキュリティにおける最大の弱点は、新たな攻撃手法そのものではなく、攻撃者の横展開を許す内部の接続関係を十分に把握できていない点にあるとも指摘した。

関連企業の動きも広がっている。AIデジタルフォレンジックを手がけるUラックは、中小ベンチャー企業部が推進し、NVIDIAが支援する「グローバル企業協業プログラム N-UP」に参加する。オンデバイスAIフォレンジック技術の高度化を進める考えだ。

サイバーセキュリティ企業のCキュービスタは、セキュリティコンサルティング企業Novain Secureと協力し、公共、金融、航空宇宙など国家基幹産業向けのセキュリティ市場開拓を進める。両社は統合セキュリティサービスの共同開発にも取り組む。

OpenAIは、テスト中の自社モデルに対してHugging Face上で攻撃があったことを受け、AIによる自律攻撃への対応指針10項目を公開した。

中国勢の動きも目立つ。中国のAI企業はオープンウェイトモデルを前面に打ち出し、サイバーセキュリティ市場での影響力拡大を急いでいる。AIスタートアップのZ.aiは、サイバーセキュリティに特化したAIモデル「GLM-5.3」を公開した。

Appleは、110カ国の一部ユーザーに対し、傭兵型スパイウェア攻撃の標的になった可能性があるとして脅威通知を送付した。あわせて関連する支援文書も公表している。

Swimlaneは、SOC(セキュリティ運用センター)に入るアラートを自動分類し、調査先を振り分けるインテリジェントルーティング機能を追加した。アラートを、決定論的自動化、AIベースの調査、エージェンティックな自動化のいずれか適切な処理ルートに回す設計だという。

Palo Alto Networksは、フロンティアAI時代の脆弱性対応に向けた協力プログラム「Frontier AI Critical Defense Program」を開始する。CrowdStrikeのグローバルCTOを務めるエリヤ・ザイツェフ氏は退社し、新たなベンチャーファンド「Cognition」を設立する。AIを起点とする防御市場の再編は、企業提携や投資の面でも広がりを見せている。

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